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埼玉県、自宅療養者支援を強化 委託先変更、1万8000人体制へ

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埼玉県庁=内田幸一撮影 拡大
埼玉県庁=内田幸一撮影

 埼玉県は17日、新型コロナウイルスに感染した自宅療養者の支援体制を強化すると発表した。東京都内の民間会社1社が担っていた「県宿泊・自宅療養者支援センター」は、この会社との契約を更新せず、新たに大手旅行会社2社に運営を委託。10月上旬をめどに、「第5波」のピーク時の自宅療養者数に相当する約1万8000人に対応できる体制を構築する。強化費として、20億7500万円の補正予算を24日開会の県議会9月定例会に提案する。【岡礼子】

 県によると、新たな2社による支援センターは、ピーク時に看護師計約300人、事務職計約400人の体制を見込む。1社は9月6日から健康観察を始め、試験的に約200人を担当している。もう1社も14日に開始し、段階的に増やしていくという。持病がなく軽症の自宅療養者の健康観察を担う。

 「第5波」ピーク時の8月16~22日の平均自宅療養者数が1万7438人だったことから、1万8000人に対応できるようにした。支援センターで1万5500人、協力医療機関で1500人、保健所で1000人を担当する。

埼玉県内の新規感染者数の推移 拡大
埼玉県内の新規感染者数の推移

 県は委託先について「医療関係で同種事業の実績がある会社が見つからず、ツアーに同行する看護師を集めたり、コールセンターを運営したりするノウハウを持っている旅行会社に委託することにした」と説明した。

 また、センターの業務を一部移管して県庁内に9月7日に開設した、軽症者や重症化リスクがある療養者と医療機関との「つなぎ役」を担う窓口も強化。民間からの派遣職員8人の体制から、派遣職員27人(うち看護師2人)に増やす。

 大野元裕知事は17日の記者会見で「ミスやオーバーフローはありうる。それを何重もの体制でカバーすることが重要だ」と話した。

当初の業者、機能不全に

 県宿泊・自宅療養者支援センターの運営業務を7月から委託されていた東京の大手訪問看護会社は、原則として無症状の患者の健康観察を担当するはずだったが、実際には軽症患者らも担当。また、体制は自宅療養者1050人に対応できる規模で、県想定の4分の1程度だったことが、県と運営会社への取材で判明した。ピーク時には対応能力の7倍に達する7700人の健康観察などを担い、機能不全に陥った。

 県は5月末、保健所の負担軽減策としてセンター設置を公表。訪問看護会社と約4億5000万円の委託契約を結び、7月に開設された。県が公表した体制は、看護師約60人が常駐し、24時間体制で、持病がなく無症状の自宅療養者の健康観察を担うというものだった。

 しかし、感染拡大は想定を超えて進んだ。県内の新規感染者数は7月31日に1000人を超え、センターが担当する自宅療養者は2000人超に。運営会社によると、担当する患者は当初から「症状がある人が想定以上に多かった」。だが有症状患者の健康観察は、協力医療機関になかなか引き継げなかった。

 センターに用意した30回線の電話には、1日最大約9000件の電話がかかり、パンク状態に。医療機関用に設けた別回線にも、患者情報を一元管理するシステム「HER―SYS(ハーシス)」の使い方の問い合わせなどが相次いだ。

 健康観察は自動電話で行い、必要な人に看護師が直接電話することになっていたが、「症状が重い人への対応を優先し、自動架電の応答状況を確認できなくなっていた」という。担当者は「1人でも多くの自宅療養者を支えようと励んだが力及ばず、重く受け止めている」とコメントした。

 また、センターが対応する自宅療養者数について、県は「ピーク時は4600人と想定し、運営会社に伝えた」と説明する。看護師の数は見積書で平時40人、ピーク時62人と認識していた。しかし、運営会社は「電話対応できる療養者数が1050人と想定していた」とする。看護師は20~40人、事務職は10~20人で対応していた。想定の違いが明らかになったのは、自宅療養者数の過大計上などが顕在化した後の8月28日になってからだった。

 県によると、契約書には「4600人」と明示せず、「患者数に応じた体制をとる」という一文にしていた。県の担当者は「運営会社は大手で、柔軟に対応できると聞いていた。だが7月下旬ごろには日報も来なくなり、体制を把握できなかった」と振り返った。

■県宿泊・自宅療養者支援センターの対応の経緯

 7月8日 センターで自宅療養者の健康観察開始。最大1050人に対応する体制を想定

  24日 センターが対応する自宅療養者数が想定の1050人を超える

   下旬 センターの日報が県に届かなくなる

 8月初旬 自宅療養者数が多すぎることに県が気付き、調査を開始

  15日 センターが対応する自宅療養者数が7000人を超える

  19日 新規感染者数が過去最大の2169人に

  23日 自宅療養中の70代男性が救急搬送後に死亡

  24日 県が自宅療養者数の過剰計上を公表

  26日 センターが新規の自宅療養者対応を中止

  27日 自宅療養中の60代男性、死後に発見

  28日 県とセンターが対応を協議。想定対応数の違いが判明

  30日 県、自宅療養者数を6625人過大に計上していたと公表

9月17日 県、自宅療養者の支援体制拡充を発表

 ※県とセンター運営会社への取材による

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