氷河期世代、取り残されたまま 「3年で正社員30万人増」困難

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就職氷河期世代を対象にした厚生労働省の採用試験=東京・霞が関で2020年2月2日(代表撮影)
就職氷河期世代を対象にした厚生労働省の採用試験=東京・霞が関で2020年2月2日(代表撮影)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、就職氷河期世代支援の政府目標達成に黄信号がともった。政府は2019年12月、氷河期世代について「今後3年間で正社員を30万人増やす」という目標を掲げた。しかし内閣府によると、20年に正社員数はほとんど増えなかった。一方、他の世代をみると、コロナ禍でも人手不足を背景に正社員化が進み、新卒採用も堅調だ。政府がようやく重い腰を上げようとした矢先にコロナ禍に見舞われた「不遇の世代」は、結局支援から取り残されたままだ。【中川聡子/くらし医療部】

予算522億円 正規は「横ばい」

 氷河期世代は、1993~04年ごろに新卒で就職活動し、現在は30代後半から40代後半になる。バブル崩壊後の不況期に企業が新卒の採用数を極端に絞り、さらに政府が派遣労働の拡大など雇用の非正規化を進めたことから、企業は人件費を削減するため非正規雇用を活用した。結果的に希望の職に就けず、非正規を選ばざるをえなかった人も多い。

 本来は働き盛りの現役世代にあたるものの▽生活が不安定で結婚・出産を望んでもできない▽引きこもりや、80代の親が50代の無職の子を養う「8050問題」など、社会的に孤立し、社会保障費の増大につながる――などとして、19年3月に当時の安倍晋三首相が氷河期支援の強化を表明。この世代を「人生再設計第一世代」と表現したことで批判を浴び撤回する一幕もあったが、政府は19年12月にまとめた「就職氷河期世代支援に関する行動計画2019」で、「3年間で正社員30万人増」を打ち出し、「3年間で650億円を上回る財源を確保する」との方針を示した。19年度補正予算から21年度予算まで総額522億円となり、22年度概算要求でも207億円を計上している。

 しかし内閣官房の集計によると、20年の37~46歳の雇用形態は、正規916万人(19年の36~45歳と比較し横ばい)▽役員57万人(同5万人増)▽非正規366万人(同10万人減)▽完全失業者36万人(同5万人増)--との結果になった。実態は目標にほど遠い。

 厚生労働省の就労支援事業の実績をみると、ハローワークの職業紹介で正社員になった氷河期世代は20年度で約9万2000人に上る。また国家公務員には19、20年度に約1800人、地方公務員には20年度に約3700人の氷河期世代が採用された。しかし正規の総数は増えておらず、内閣府の担当者は「コロナによる雇用情勢悪化で正規から非正規化したり失業したりして、政策効果が相殺されたのでは」と話す。

コロナでも有効求人倍率は1倍超

 ただ、他の世代には、違った傾向が見えてくる。…

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