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水中写真連載 So Blue

これまでに800回以上、海に潜った三村政司・写真記者が各地の美しい水中の風景をお届けします。

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いただきまーす 最大の魚、ジンベエザメの大口

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迫るジンベエザメの巨大な口。見通しが悪く直前まで互いに気づかなかったが、人が無駄に動かなければよけてくれる。左奥には別の個体も=モルディブ共和国で、三村政司撮影
迫るジンベエザメの巨大な口。見通しが悪く直前まで互いに気づかなかったが、人が無駄に動かなければよけてくれる。左奥には別の個体も=モルディブ共和国で、三村政司撮影

 幅2メートル近い大きなサメの口が迫る。「危ない、食べられる!」

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 と思いきや、このサメは人を襲うことがないジンベエザメ。全長12メートルにもなる「最大のサカナ」です。性質は穏やかで食べるのは目の前にいる私、ではなく小さなプランクトンです。口を大きく開いて海水ごと吸い込み、プランクトンをこし取ります。

 普段は単独で大海原を回遊するため、目にすることはまれ。しかし近年、数十から数百匹ものジンベエザメが集まる場所がメキシコやインドネシア、フィリピンなどで見つかっています。

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 この海もその一つ。点在する島々の美しさから「インド洋の真珠」とたたえられるモルディブ共和国にあるハニファル湾。秋のごく限られた期間、海流と季節風がもたらす大量のプランクトンを食べようとジンベエザメたちが押し寄せてくるのです。

 「プランクトンジュース」で満たされた湾の透明度は極めて低く、この時いったい何匹が集まっていたのか正確に数えることはできませんでした。ただ、1枚の写真に数匹が写り込むという「密」からすると、サッカーグラウンド程度の狭い湾で、数十匹が押し合いへし合いをしていたことが想像できます。

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 集まる場所があるとわかってきた一方、地球全体では数が減り続けています。環境の変化と人による乱獲が原因とされています。性成熟には20年以上かかるとされ、繁殖力も低いとみられています。

 2000年に国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種に指定し、多くの地域で保護されるようになったものの、他のサメと同様、フカヒレの材料としての密漁はやんでいません。ジンベエザメのヒレは最高級品として高値で取引されてきた歴史があるのです。

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 日本は、世界有数のフカヒレ消費地の一つです。(モルディブ共和国・バア環礁で撮影)【三村政司】

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