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コロナ下での留学決行 学生が感じた良かったこと、困ったこと

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閑散とした成田空港の国際線出発ロビー。座談会に出席した学生から「自分が見た限り米国行きの便には、客が3人しか乗っていなかった」と話があった 拡大
閑散とした成田空港の国際線出発ロビー。座談会に出席した学生から「自分が見た限り米国行きの便には、客が3人しか乗っていなかった」と話があった

 世界を大きく揺るがしている新型コロナウイルス。海外への渡航も容易ではなくなった。それでも、「留学したい」の一心で渡航に踏み切った学生がいる。米国、カナダ、スウェーデンに留学中の学生と英国から帰国済みの学生の4人をオンラインでつなぎ、コロナ下での留学について語ってもらった。【司会・まとめ、日本女子大・鈴木彩恵子】

 ――いつ留学準備を始め、渡航を決断しましたか?

 A 3年ほど前から、英国の大学院に入るための準備を始めた。ただ、合格した昨年3月にコロナの感染が拡大し、出発する同年9月直前までオンライン留学も検討するなど悩んだ。

 B コロナがまだ流行していなかった昨年1月から準備を始めた。同年8月に米国に渡る予定だったが、現地の大学の授業が全てオンラインだと知り、延期を決めた。対面授業も一部再開したと聞いたので、今年1月からの渡航を決めた。

 C 一昨年の9月ごろから準備を始め、昨年4月の出発を目指したが、その時はカナダへの渡航ができなかった。ただ、同年9月には可能になったので、今年4月の渡航を決意した。

 D 昨年9月に準備を始めた。その時にはもうコロナが流行していたが、留学に必要な語学の得点を取れたので、スウェーデンへの留学を決意した。

ロックダウン中の英ロンドン。発令前にはパブに駆け込む人が多くいたという 拡大
ロックダウン中の英ロンドン。発令前にはパブに駆け込む人が多くいたという

 ――コロナ下でも留学をしようと思った理由は?

 C 留学したい気持ちがあり、学びたいことがあるから行く決断をした。

 A 留学先の大学院に教わりたい先生がいたから。日常生活に制限はあると想定していた。

 D 留学を決めた際、スウェーデンの方が感染は収まっていて、日本にいるより活動できると思った。

 ――出発に向けて何か困ったことはありましたか?

 D 渡航まで1カ月半しかないのに、大学がなかなか留学許可を出してくれず、ビザが取れないかもしれない、という不安があった。

 ――出発前に現地のコロナ情報は調べましたか?

 C 私費留学だが、感染者数や渡航後の隔離の有無は自分で調べた。

 D 日本の在籍大学を介す交換留学のため、大学から留学先のコロナ情報を調べるよう求められた。感染状況や、コロナにかかった時に医療はどこで受けるのかなど、かなり細かく調べる必要があり、リポート以上に頑張った。

 ――現地での授業はどのような形態で?

 B 今年8月末から全面的に対面授業。200人規模の授業もあり、仕切りなどは一切ない。ただ、申請をすればオンラインでの受講も可能。

 A 昨年末に変異株が出てロックダウン(都市封鎖)が始まった。それに伴い今年は全ての授業がオンラインになり、学生からは批判の声が上がった。

 ――授業に満足ですか?

 B オンライン授業でも発言を多く求められる。対面、オンラインに関わらず、課題も多いので、勉強している感じがある。

 A オンライン授業だと1人ずつ話すため、発言が聞き取りやすいという利点がある。ただ、授業後におしゃべりできるのは対面授業ならではの良さかな。

 D 討論中心の授業のはずなのに、オンラインだと先生の講義だけで終わってしまう。討論するために学生だけで集まったこともあるが、結局話し合いは行われなかった。そういう部分は物足りなく感じる。

 ――滞在はどのような形式ですか?

 C ホームステイをしている。空港で入国する際に、ホームステイ先に65歳以上の人がいないこと、また隔離期間中はバスルームが共用ではないことなどの確認を受けた。

 B 同じ大学で学年の違う女子と寮に6人で住んでいる。寮の廊下など6人の共同スペース以外の場所ではマスクの着用が必要。

 ――渡航後、隔離期間はありましたか? その間や1人の時は何をして過ごしましたか?

 B 寮で隔離されたが、オートロックの鍵をもらえず、ご飯は運んでくれるがほぼ監禁状態(笑い)。友達探しのアプリを使って同じ大学の人とつながり、英語力をつけた。

 A 隔離はなかったが、1人の時はとにかく課題に取り組んでいた。

 ――現地の学生と交流はありますか?

 B 同じ授業を受ける人や、寮の人と交流している。

 A 外出があまりできなかった分、寮の友達とは濃く関わることができた。

 C 友人と会えている。来月から授業が対面になり、大学付近に引っ越す人もいるので、会うのが楽しみ。

 D 留学生に向けて、現地の学生に大学生活などをサポートしてもらえるバディープログラムがあったため、交流を持つことができた。

 ――現地の人のコロナに対する意識はどうですか?

 A 電車など、マスクをしないといけない所では着けるけれど、降りたらすぐに外していた。ただ大学では週に2回PCR検査を受けて、陰性でなければ通えないなど、日本の比じゃないくらい厳しい面もあった。帰国して、日本はロックダウンを求める声があるのを知ったが、英国は逆で、自由にさせてほしいという声が多い。

 D 完全防備の人もいれば、マスクを着けていない人もいる。マスクをするのも個人の自由、という考えが強いと感じた。

 ――行動に制限は?

 B 今は特にないが、来た当初はお店が全てドライブスルーで店内では飲食できなかった。

 A ロックダウンは前日に急に決まるため、いろいろ準備ができなかった。つらかったのは散髪にいけないこと。寮の友達に切ってもらっていた。

 ――医療面などでコロナに関する不安は?

 A ロックダウンの時は、医療が逼迫(ひっぱく)しているのに全く街に緊張感がなかった。その時は、これからどうなるのか不安になった。

 D あまり不安はない。ビザを取得し、保険にも入っているので、自分がかかった時に医療が受けられないかも、とは感じていない。

 ――コロナを理由にしたアジア人差別が問題になりました。実際に差別を受けたり見たりしたことはありますか?

 B 自分が受けたことはない。ただ、友人がアジア系の人が暴行を受けているのを見たと言っていた。

 A ロンドンに留学していたが、アジア人というだけで目立つところではない。自分も受けたことはないが、田舎の方では暴言を浴びせられたなどと聞いたことがある。

経済活動が全面的に再開し、多くの人でにぎわう米ニューヨーク。米国は地域によってマスクを着けている人の割合が全く違うという=座談会参加者提供 拡大
経済活動が全面的に再開し、多くの人でにぎわう米ニューヨーク。米国は地域によってマスクを着けている人の割合が全く違うという=座談会参加者提供

 ――ワクチンは打っていますか?

 B 現地の大学の案内で今年4月に2回目を打ち終わった。3種類から自分が打ちたいものを選んで打つことができた。

 C カナダも同様に大学から案内がきて、今年6月に1回目、8月に2回目を打った。

 D 渡航前に大学の手配で2回打った。留学先の大学が接種を必須にしている場合、大学がワクチンを確保してくれていた。

 A 帰国後に2回打った。英国では1回目と2回目の間隔が長く、打ち終わる前に帰国せねばならなかった。英国と日本で別々にワクチンを打つことに抵抗があったため、帰国を早めて、日本での接種を決めた。

 ――コロナ下の留学でプラス面、マイナス面を挙げるとすれば何でしょう?

 B 良かったのは、留学生が少ないこと。日本語を話す機会がなく、英語しか話していないため、語学力の向上を実感できている。

 D コロナによって気にすることが多い中で留学したことは、普通の留学にも増してまれな体験だと思う。ただ、心配なのは日本にいる家族。家族に何かあっても立ち会えないかもしれないと思うと不安になる。

 C 対面授業が少人数になってコミュニケーションが取りやすくなるのは良かった。

 ――コロナ下の留学制度で改善を求めたいことは?

 A 外務省が公表する留学先の感染症危険情報レベルによって、奨学金の支給元が渡航に難色を示して奨学金をもらえない場合がある。私も一部もらえなかった。柔軟に対応してほしい。

 D 当初、大学はこの危険情報レベルがレベル2以上だと留学を認めていなかった。今はどこの国もレベル2以上で、国によって度合いも違う。結局留学できたけれど、留学できる明確かつ柔軟な基準がほしかった。

 ――留学を考えている人に助言をお願いします。

 C コロナだからできない、ではなくできることを考えていくことが大事。

 A 今まで以上に留学したい気持ちが大事。その気持ちを強く持てれば、自分で調べることも増えて、選択肢も広がると思う。

 ――コロナ下での留学の実態を、皆さんのお話から知ることができました。ありがとうございました。

<参加学生のプロフィル>A=私立大学院2年・男子(2020年9月~21年6月・英国)B=私立大3年・女子(21年1月~・米国)C=私立大4年・女子(21年4月~・カナダ)D=私立大3年・女子(21年8月~・スウェーデン) カッコ内は留学時期と留学先

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