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「幸せそうな女性」を憎む社会 「小田急線刺傷事件」生む構図 作家、柚木麻子さんに聞く

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柚木麻子さん=斉藤春香さん撮影
柚木麻子さん=斉藤春香さん撮影

 「幸せそうな女性を見ると殺してやりたいと思うようになった」。8月6日に小田急線の電車内で起きた刺傷事件のニュースで流れた言葉に、多くの人が衝撃を受けた。女性の主人公を生き生きと描く作品で知られる作家、柚木麻子さん(40)もその一人だ。事件を「日本社会の女性の生きづらさが集約されたよう」と評する柚木さんに話を聞いた。

いら立つ人はまず自分と向き合って

 事件は東京都世田谷区内を走行していた小田急線車内で発生した。重軽傷を負った10人のうち、男に刃物で襲われたのは4人で、このうち3人が女性だった。殺人未遂容疑で逮捕された男の「勝ち組の女性を殺したいと考えた」といった供述が報じられ、注目を集めた。SNSを中心に「性別を理由に女性を標的にした『フェミサイド』だ」という声が広がり、新宿駅前での街頭抗議には約100人が集まった。

 柚木さんは事件の報道に触れ、「パズルのピースが合うように、ずっと自分が抱えていた違和感の答えが分かった」という。普通に過ごしていただけなのに、突然年配の男性に攻撃されたり、怒られたりした過去の経験が、事件と重なった。

 そうした話をまとめ、「怖い思いをしている女性たちに、何も変わらなくていいと伝えたくて」すぐにウェブでの連載で「幸せそうで、なにが悪い」と題したエッセーを発表した。さらにツイッターで紹介すると、「わかる」「私も突然、男性上司にキレられたことがある」「もやもやした気持ちを代弁してくれてありがたい」などと体験談や共感の声が多数寄せられた。

 柚木さんが思い起こした出来事の一つは、4年前のことだ。…

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