100歳の洋画家 母校で美術の特別授業 ひ孫世代の後輩勇気づける

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生徒たちに絵の面白さを語る野見山暁治さん=福岡県飯塚市で2021年9月22日午後1時57分、荒木俊雄撮影 拡大
生徒たちに絵の面白さを語る野見山暁治さん=福岡県飯塚市で2021年9月22日午後1時57分、荒木俊雄撮影

 文化勲章受章者で100歳の洋画家、野見山暁治(ぎょうじ)さん=東京在住=が22日、出身地の福岡県飯塚市を訪れ、県立嘉穂高付属中で2年生約80人に美術の特別授業をした。野見山さんは嘉穂高の前身、旧制嘉穂中出身。6月に新型コロナウイルスワクチンの接種を終えたものの、体力面の不安から一時は中止も検討された特別授業だったが「後輩に何かできれば」と、ひ孫世代の生徒たちを勇気づけた。

 野見山さんは東京美術学校(現東京芸術大)卒業後に応召。戦後渡仏し、新人洋画家の登竜門とされる安井賞を1958年に受賞した。帰国後は東京芸大教授を務め、芸術選奨文部大臣賞(92年)や毎日芸術賞(96年)なども受賞。創作意欲は衰えず、毎年夏に滞在する福岡県糸島市の自宅兼アトリエでは現在も大作3点を同時制作中という。

創作中の生徒を見回る野見山暁治さん(中央)=福岡県飯塚市で2021年9月22日午後2時35分、荒木俊雄撮影 拡大
創作中の生徒を見回る野見山暁治さん(中央)=福岡県飯塚市で2021年9月22日午後2時35分、荒木俊雄撮影

 嘉穂高付属中での特別授業は2016年から毎年続けている。秘書によると、野見山さんは毎朝8時ごろに起床し、食事と創作、昼寝を繰り返しているが、最近うとうとする時間が次第に長くなっているという。このため今回の授業は体力面を考慮し、野見山さんの創作中の姿を収めた動画などを長めに紹介。この後、生徒たちは約20人ずつの4グループに分かれ、友人の顔を描き合った。

 「身近な物を使って描く」という同中の企画で、画用紙の代わりに色紙を使い、絵の具は墨汁、筆は割り箸に。野見山さんは創作中の生徒の間をつえをついて見回った後、モニターに映し出された生徒の作品を「へたくそだけど、とても面白い」「うまく描こうとしないのがいい」などと独特の表現で批評した。最後には「絵は多様性。人がどう思おうと自分が感じたものを描けばいい」と総括した。

 終了後、代表で花束を手渡した松岡凱風(よしかぜ)さん(14)は「『絵を説明してはいけない』という言葉が印象に残った。思ったことを素直に描きたい」と話した。野見山さんは取材に「勉強は嫌だったが、いい先生たちに巡り合えたから今がある。後輩たちにもいい巡り合いをしてほしい」と語った。【荒木俊雄】

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