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コロナ禍のフードバンク 対面の普及活動に制約 寄付募る難しさも

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寄贈された食品を運ぶフードバンクとやま理事長の川口明美さん。箱を載せた台車にはローラーが付いている=砺波市で2021年8月30日午後0時17分、砂押健太撮影 拡大
寄贈された食品を運ぶフードバンクとやま理事長の川口明美さん。箱を載せた台車にはローラーが付いている=砺波市で2021年8月30日午後0時17分、砂押健太撮影

 食品ロス削減の手段として、まだ食べられる食品を集めて生活困窮者や児童福祉施設などに提供する「フードバンク」の取り組みに対する期待が各地で高まっている。長引く新型コロナウイルスの影響で援助が必要な家庭が増加。感染対策によってボランティア中心だった活動のあり方も様変わりした。対面での普及活動にも制約が生じ、食品の寄付など支援の輪を広げる難しさにも直面している。

密を避けるため機械化

 富山県砺波市にある「フードバンクとやま」(本部・同県射水市)の倉庫。企業などから寄贈された食品の箱やコンテナを積み下ろすため、コロナ禍前は多くのボランティアの力を借りていた。しかし今は感染対策をせず作業することは許されず、倉庫内も「密」を避けるため人数を減らさざるを得ない。

 このため、行政の補助金を受けて新たに機械式のローラーコンベヤーを導入。倉庫での積み下ろし作業は数人に減らしている。川口明美理事長は「ボランティアを集めるのは難しく、現在は限られた人数での作業を余儀なくされている」と明かす。

困窮する外国人労働者も支援

 まだ食べることができる食品が廃棄される食品ロスは2018年度の国の推計値で年間600万トンに上る。公益財団法人・流通経済研究所のフードバンク実態調査によると、北陸3県では計5団体(20年3月現在)が活動している。

 新型コロナの影響で仕事を失った人は各県で増加傾向にあるとされる。富山県のフードバンクが食品を提供する社会福祉協議会にはひとり親家庭を中心に「子供に食べさせることができない」などと助けを求める声が増えている。また石川県で活動する「フードバンクいしかわ」(金沢市)は、仕事を失うなどした外国人労働者への支援に乗り出した。

普及活動に課題

 もう一つの悩みは、食品の寄付を求めるなどの普及活動の難しさだ。

 以前はフードバンクの活動を広めようと、各団体のメンバーが企業へ直接働きかけたり、講演会や研修会などを開いたりして積極的に発信を続けてきた。こうした努力が実り、環境問題や食品ロスを減らそうと取り組んでいる企業への認知度は高まったが、その矢先にコロナ禍が襲った。

 フードバンクとやまの川口理事長は「コロナをきっかけにメディアなどで活動を知る人が増えてきたが、まだまだ認知度不足」と話す。コロナ禍で研修会なども開催できず、フードバンクいしかわの任田美智代代表も「これまでは一般の方々を集めて活動を紹介していたが、コロナで今は控えている」と残念がる。

 だが、コロナ禍によってフードバンクの重要性が見直されたことも間違いない。任田代表は「収束したら、子供たちに私たちの活動をもっと知ってもらいたい」と期待を寄せる。【砂押健太】

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