特集

Listening

話題のニュースを取り上げた寄稿やインタビュー記事、社説をもとに、読者のみなさんの意見・考えをお寄せください。

特集一覧

社説

五輪・パラの文化事業 一過性にしない振興策を

  • コメント
  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷

 東京オリンピック・パラリンピックに合わせて、日本文化を世界に発信する「文化プログラム」が実施された。

 だが、新型コロナウイルスの感染拡大のため大会自体がほぼ無観客となり、メッセージが十分に伝えられなかった。

 五輪はスポーツだけでなく、文化の祭典としての側面もある。憲章で文化プログラムの実施が義務づけられているのはそのためだ。

 実施主体の大会組織委員会や国、東京都は、古典芸能や現代アート、ポップカルチャーなど日本の多様な文化を世界に知ってもらう好機と位置付けていた。

 しかし、感染拡大下で海外からの観客受け入れは実現せず、イベント開催にも制約が生じた。

 日本に暮らす人々にとっても文化を再発見する貴重な機会となるはずだった。リアルで体感することが少なくなったのは残念だ。

 一方で、オンライン配信や、ライブとの組み合わせなど工夫を凝らして多くのイベントが行われた。今後の文化発信のモデルになるだろう。

 ジェンダーや国籍、障害などの垣根を越えてアーティストが競演したパフォーマンス「MAZEKOZEアイランドツアー」は、約116万人がオンラインライブ配信を視聴したという。東日本大震災の被災地から巨大人形「モッコ」が東京まで旅をする企画も注目された。

 東京の空に巨大な顔のオブジェを浮かべ、人間の存在を見つめ直すアートプロジェクト「まさゆめ」はネット上でも評判を呼んだ。

 文化芸術は、コロナ禍で大きな打撃を受けている。団体やアーティスト、スタッフら担い手への継続的な支援が欠かせない。

 団体を対象にした国の支援事業は、5月末までの申請分の約半数が助成を受けることができず、不満の声が上がった。改善が必要だ。

 コロナ禍で深まった社会の分断を、芸術の力で修復する。それが文化プログラムに期待された役割の一つだ。

 今回の成果を一過性のものに終わらせず、障害者の文化芸術活動の推進を含め、一層力を入れて取り組んでほしい。社会における文化芸術の意味を改めて見つめ直す機会としたい。

コメント

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集