市役所はワンダーランド 名古屋市元職員が携わった仕事、一冊に

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「市役所ワンダーランド」を書き下ろした長谷川博樹さん=名古屋市で2021年9月13日、山田泰生撮影 拡大
「市役所ワンダーランド」を書き下ろした長谷川博樹さん=名古屋市で2021年9月13日、山田泰生撮影

 名古屋市役所に37年間務めた同市名東区の長谷川博樹さん(72)が「市役所ワンダーランド」(ゆいぽおと)を出版した。名古屋オリンピックの招致失敗や藤前干潟埋め立て断念といった市政の歴史的な出来事、直接関わった仕事、仕事を通して考えたことなどをエッセー風にまとめた。「市役所は『伏魔殿』というより、不思議ですてきなワンダーランドです」と回想する。【山田泰生】

 長谷川さんは名古屋大を卒業した1973年、杉戸清市政の最後の年に採用された。その後革新首長ブームに沸いた本山政雄市長、市幹部出身の西尾武喜、松原武久両市長にそれぞれ12年間仕え、退職直前の2009年度に河村たかし市長の下で総務局長を務めた。

 著書では「一言で言い表せない役所」について99編のエピソードを交えて爽やかにつづった。市の土木事務所で公務員生活を滑りだした新人時代から、課長職の総務局プロジェクト室主幹として携わった名古屋ボストン美術館の開館支援、10年に理事長として天下りした市みどりの協会や現在監査委員を務める尾張旭市についても言及している。

 歴代市長の人柄や仕事ぶりへの分析も興味深い。名古屋五輪招致でもたついた本山市長について、庁内のあだ名は「モタ山」だったが、「市民との対話を重視すると言って時間をかけ、しかも自分の考えもなかなか言わなかった。誠実さと同時にある種のしたたかさも感じた」と評した。

 09年から市政を運営する河村市長に対しては「誇張した名古屋弁にはパフォーマンスが入っているが、気さくさだけは演技でない」と指摘。ベテラン議員が市議会初論戦で河村市長にくぎを刺した言葉で締めくくった。

 「市長は『面白い名古屋にする』という。結構なことだが、終わってみたら、面白いのは市長だけだった、とならないようにしてもらいたい」

 地方公務員を目指す若者や地方議員にとっても、役所の実情が垣間見える一冊だ。四六判、1320円(税込み)。問い合わせは市内の出版社ゆいぽおと(0120・160・377)。

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