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緊急事態宣言下で大阪市が急きょ導入したオンライン学習を巡り、「学校現場が混乱した」と松井一郎市長に実名で提言した市立小の現職校長が8月に市教委から処分を受けた。その主張は単なる批判にとどまらず、競争原理が幅を利かせる今の公教育に疑問を投げかけている。提言に対しては共感と批判が入り交じり、反響は今も続く。一体何が校長を異例の直言へと突き動かしたのか。
「豊かな学校文化を取り戻し、学び合う学校にするために」。そんなタイトルの提言書を市立木川南小(淀川区)の久保敬校長(59)が書いたのは、オンライン学習への不満が発端だった。オンライン学習は松井市長が4月に突如、導入する考えを表明。同月下旬から約1カ月間、対面授業との併用で行われた。しかし、通信環境の整備などが不十分で、教育現場は準備で大きな負担を強いられた。同小には1月にノートパソコンが配備されていたが、子どもたちに操作方法を教える時間的な余裕はなかった。
久保校長は市教委や市ホームページの「市民の声」を通じ、「時期尚早」と訴えた。しかし、見直される気配はなく、「全市で実施できる状況になく、もっと上に言うしかないと思った」。5月17日、松井市長と山本晋次教育長宛てに提言書を郵送。知人を介して全文がSNS(ネット交流サービス)で公開されると、一気に拡散した。
提言は、公教育に対する危機意識や問題提起に多くが割かれて…
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