つながらぬスマホにかけ続ける母 大分の会社員行方不明から5年

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
五條堀美咲さんの子供時代の写真を手に思いをはせる父親=福岡県久留米市の自宅で2021年9月17日午後2時1分、辻本知大撮影 拡大
五條堀美咲さんの子供時代の写真を手に思いをはせる父親=福岡県久留米市の自宅で2021年9月17日午後2時1分、辻本知大撮影

 大分市横尾の会社員、五條堀(ごじょうぼり)美咲さん(29)が行方不明となって25日で5年になる。大分県警は延べ約3万2000人の捜査員を投入して行方を捜すが、有力な手がかりは得られていない。福岡県久留米市で暮らす五條堀さんの両親は、解決の糸口が見えない状況に困惑しつつも今なお、娘からの連絡を待っている。

 「新型コロナウイルスでみんながマスクを着けていることも、東京五輪のことも知らないのかな」。自宅で取材に応じた父親(67)は、小学校に入学する前の写真を眺めながら、娘に思いを巡らせた。

 五條堀さんは、両親と姉の4人家族。高校時代は野球部のマネジャーとして部活動に励み、福岡市の短大では食品について学び、調理師免許もとった。お菓子が好きで、2歳上の姉と菓子店巡りをした。

 短大卒業後、アルバイトをしていた久留米市内の服飾雑貨店から社員採用の話があり、大分市の商業施設の店舗で働いた。勤務態度は真面目で無遅刻無欠勤。愚痴を言わず、私生活でトラブルもなかった。

情報提供を呼びかける大分県警作製のチラシ 拡大
情報提供を呼びかける大分県警作製のチラシ

 ところが5年前、その日常が途絶えた。2016年9月25日夜、友人女性と大分市内で外食して帰宅。その後、26日午前1時ごろまで、複数の友人とスマートフォンの無料通信アプリ「LINE(ライン)」で連絡をとったのを最後に行方が分からなくなった。

 同日午後になっても出勤しないのを不審に思った店のスタッフが両親に連絡。同日午後6時ごろ、両親が五條堀さんの自宅の鍵を開けて室内に入ったが、照明は消え、洗濯物は干したままだった。室内に荒らされた形跡はなく、スマホや財布、友人女性と外食した際に持っていたバッグはなくなっていた。

 だが、化粧品など身の回りの必要なものは残されていた。その2週間前、姉の結婚式で「次は美咲ちゃんね」と言われ「はーい、頑張ります」と言っていた。「自分から出たとは思えない」。父親は当時からそう確信している。

 五條堀さんが友人と別れた日から25日で5年。大分県警にはこれまで計265件の情報が寄せられたが、その後の消息につながる情報はない。母親(63)は、今も五條堀さんのスマホの契約を続け、つながらないスマホに毎日かけ続けている。父親は、時間を見つけては五條堀さんのアパート周辺に車で向かい、手がかりを探す日々だ。

 県警はさらに情報提供を呼びかけようと24日、両親と捜査員ら計50人で五條堀さんのアパート周辺やJR大分駅など計3カ所でチラシを配布した。父親は「5年間気持ちは変わらない。無事でいてほしい。私も高齢なので、生きているうちに会いたい」と話した。情報提供は大分東署(097・527・2131)。【辻本知大】

<五條堀美咲さん行方不明の経過>

2016年

9月25日

午後11時半ごろ 五條堀さんの自宅を訪れた友人女性が帰宅

  26日

午前1時ごろ  友人女性とLINE(ライン)で連絡を取る

午前6時前後  スマホの電波が自宅周辺で途切れる

午後1時半   出勤してこないため、会社が両親に連絡

午後9時ごろ  両親が大分県警に捜索願を届け出

10月6日    県警が行方不明を発表。公開捜索開始

あわせて読みたい

注目の特集