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ノーベル賞

「世界で最も権威のある賞」といわれるノーベル賞。今年はどんな研究・活動に贈られるでしょうか。

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身近なモノに、実はすごい研究 未来館流ノーベル賞の楽しみ方/上

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ノーベル賞授賞式で医学生理学賞を受賞した、京都大の山中伸弥教授に授与されたメダル=ストックホルムの市庁舎で2012年12月10日夜(代表撮影)
ノーベル賞授賞式で医学生理学賞を受賞した、京都大の山中伸弥教授に授与されたメダル=ストックホルムの市庁舎で2012年12月10日夜(代表撮影)

 今年もノーベル賞の季節がやって来ました。自然科学部門では、10月4日に医学生理学賞、5日に物理学賞、6日に化学賞の発表があります。年に1度の「科学の祭典」をもっと楽しむには? 東京都江東区の科学館「日本科学未来館」で科学技術を分かりやすく紹介している科学コミュニケーターの3人に語り合ってもらいました。【科学環境部/三股智子】

「身近なモノの奥にすごい研究」

 記者 国際的な科学賞の中でも、ノーベル賞は特に注目が集まります。その意義や魅力とは何でしょうか?

 太田努さん(担当=物理学賞) ノーベル賞の場合、普段科学ニュースを追いかけていない人も関心を持つ機会になるところが一番大きな魅力だと思います。研究者にスポットが当たり、子どもたちも「ノーベル賞を取りたい!」と憧れるかもしれません。

 昨年は「ブラックホールに関する発見」が受賞しましたが、理論的に証明された当時はそもそもブラックホールの存在が信じられていませんでした。それでも証明し、観測しようとする。そのストーリーがすごいなと思います。未来館でも子ども向けに話をしましたが、ブラックホールが人気なこともあって、とても楽しそうに関心を持って聞いてくれました。

 竹腰麻由さん(担当=化学賞) 化学賞は、特に最近は日常で使われるモノや技術に関連した研究が受賞することが多いです。2019年に吉野彰先生(旭化成名誉フェロー)らが受賞した「リチウムイオン電池」は、携帯電話や電気自動車などに使われ、私たちが手に取れるものですね。20年に受賞した「ゲノム編集」は多くの研究者に活用され、日本でもその技術を利用して品種改良されたトマトの一般販売が始まりました。普段身近にあるモノの奥に、実はすごい研究があったとか、その研究のおかげで今便利に生活できているんだ、と触れられるのは化学賞の魅力だと思います。

 竹下あすかさん(担当=医学生理学賞) ノーベル賞は「人類の幸福に貢献した人に贈られる」とされていて、私が魅力を実感するのは過去の受賞者一覧です。今では常識になっているような研究が過去にたくさん受賞しています。私たちの生活を変えるような大きな発見があり、治らなかった病気が治療・予防できるようになりました。ノーベル賞は、科学と私たちのつながりを改めて感じられる良い機会だと思います。

 昨年は「C型肝炎」に関する研究で…

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