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わざおぎ登場

中村芝翫さん「喜撰」を語る 踊り洒脱になまめかしさも

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中村芝翫さん=手塚耕一郎撮影
中村芝翫さん=手塚耕一郎撮影

 ひとりの演者が姿を変えながら、何役も踊りぬく舞踊を「変化物(へんげもの)」と呼ぶ。東京・歌舞伎座の「十月大歌舞伎」(10月2~27日)第3部で、中村芝翫さんがつとめる「喜撰(きせん)」は「六歌仙容彩(ろっかせんすがたのいろどり)」という変化物の一段。人気曲で、今回のように単独で踊られることが多い。

 通して上演すれば、六歌仙の題名通りに平安時代の6人の歌人である小野小町、僧正遍照、文屋康秀、在原業平、喜撰法師、大伴黒主が登場する。

 小町に男性歌人が恋を仕掛けようとするのが趣向だが、喜撰だけは相手が小町ではなく茶汲(く)み女のお梶になる。このお梶も小町が姿を変えたものと考えられる。

遠祖が手掛けた男性5役

 初演は天保2(1831)年の江戸・中村座で、二世芝翫(後の四世中村歌右衛門)が「僧正遍照」「文屋」「業平・小町」「喜撰」「黒主」の男性5役を手がけた。

 今回演じる芝翫(しかん)さんは八世。遠祖初演の役に初役で挑む。

 「私どもの流儀の中村流には振りが残っていないので、坂東流の振りでやらせていただきます」と芝翫さん。

 枝垂れ桜が満開の住吉社に、喜撰はひょうたんをぶら下げた桜の枝を担いで花道から登場する。

 おもしろいのは、この時の清元の歌詞…

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