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池澤夏樹・評 『スタジオジブリの想像力』=三浦雅士・著

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『スタジオジブリの想像力』
『スタジオジブリの想像力』

 (講談社・2750円)

ドローンで俯瞰し地下をも透視

 時評(リヴュー)は個々の作品を論じるものだ。それに対して批評(クリティシズム)は多くの作品を解析して、それらを貫く深い文化の原理を明らかにする。

 三浦雅士は本書において批評という行為の地表をとことん広げて論を展開している。対象がアニメーション映画であるから文芸を超えるのは予想できるだろうが、ここではデカルトからバシュラールまで近代・現代の思想家の考えがジブリ作品の解釈のために援用される。快刀乱麻という感じで、読むことがそのまま快感に繋(つな)がる。

 ジブリの二人、高畑勲と宮崎駿がこれらの思想家を熟知していたわけではない。もっとずっと深いところで思想の水脈は育つ木々を涵養(かんよう)していた。「太陽の王子 ホルスの大冒険」から「風立ちぬ」まで、すべてこの水を吸い上げて育ち、樹林となった。それを三浦はいわばドローンで俯瞰(ふかん)しながら地下までも透視する。いや、アニメーションだからドローンのまま地下まで潜るのだ。

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