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中島岳志・評 『無と意識の人類史』=広井良典・著

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『無と意識の人類史』
『無と意識の人類史』

 (東洋経済新報社・1980円)

究極の科学こそが「無の考究」に接続する

 人間は「万物の有限性」という概念を手にした動物である。世界の形あるモノは、すべて朽ちてなくなってしまう。人間の命も、動物の命も、植物の命も、すべて死に直面する。そんな原理を知ってしまったのが人間という存在だ。

 ここで私たちは、大きな岐路に立つ。すべてが空(むな)しく、儚(はかな)いとすれば、その先には底なしの虚無が待ち構えている。生きていることそのものに意味が見いだせず、絶望の中をさまよう。

 しかし、有限という認識は、その対概念としての「無限」を想起させる。あらゆるものが有限だとすれば、その究極の反対側には「無限なるもの」が存在するはずである。有限への認識を深めれば深めるほど、無限なるものの存在がせり出してくる。

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