ファーウェイ副会長釈放、中国に帰国 司法取引で不正行為認める

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カナダのバンクーバーの自宅前で姿を見せる孟晩舟氏=2021年8月10日、ロイター 拡大
カナダのバンクーバーの自宅前で姿を見せる孟晩舟氏=2021年8月10日、ロイター

 米国の要請でカナダで身柄拘束され、米国が引き渡しを求めていた中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長(49)=保釈中=について、米司法省が孟氏の起訴を猶予し、釈放を認める司法取引が24日、米ニューヨークの裁判所で成立した。孟氏は無罪を主張しつつ「金融機関に対する虚偽説明があった」とする司法省の主張についてはこれ以上争わないことに同意した。緊張が続く米中対立の懸案の一つが解消されることになった。

 米司法省はカナダ政府への身柄引き渡し要請を取り下げ、カナダの裁判所は24日、釈放を認めた。孟氏はすぐに出国し、空路で中国・深圳に向かった。また、カナダのトルドー首相によると、孟氏拘束後に中国で拘束されたカナダ人2人も解放された。カナダメディアによると、2人は25日朝、カナダに到着した。

 孟氏は24日、オンラインで出廷した。司法省によると、孟氏は米国の制裁対象であるイランにある事実上の子会社について、金融機関に「ビジネスパートナーだ」などと説明。しかし、これは虚偽だったとする書面に署名することで、不正行為を認めた。司法省は孟氏が書面を今後否定しないことを条件に起訴を猶予し、最終的に取り下げる。

 司法省は声明で「孟氏は国際的な金融機関をだます計画を実行する上で中心的な役割を果たした責任を認めた」と強調した。釈放を認められた孟氏は、裁判所の前で英語で謝意を述べた後、中国語で「祖国と祖国の人民に感謝している」と述べた。

 孟氏は2018年12月、カナダ西部バンクーバーの空港で拘束された。米司法省は19年1月、対イラン制裁を逃れるために金融機関に虚偽の説明をしたとして、詐欺などの罪で米国で起訴。身柄の引き渡しをめぐる審理がバンクーバーの裁判所で行われ、今年8月に結審していた。

 孟氏の拘束後、カナダは中国との関係が悪化。中国との貿易は急減した。カナダ人2人が中国で拘束され、報復とみられている。中国政府がカナダ政府に孟氏の釈放を要求する一方、米国のトランプ前政権は米国で裁判を受けさせるために身柄引き渡しを要求。カナダのトルドー政権は、米中対立に巻き込まれる形になっていた。

 孟氏の釈放と同時にカナダ人も解放され、「人質交換」が成立した形だ。トランプ前政権の国家安全保障会議(NSC)で中国担当だったマット・ターピン氏は米紙に対し、「中国は、人質を取ることは有効で、圧力をかければ米国は屈服すると結論づけるのではないか」と懸念を示した。【ニューヨーク隅俊之】

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