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ベネチア建築展グランプリの寺本さん 生かした「アラブの産業廃棄物」

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ベネチア・ビエンナーレ国際建築展でUAE館の共同キュレーターを務め、金獅子賞を受賞した寺本健一さん=寺本さん提供
ベネチア・ビエンナーレ国際建築展でUAE館の共同キュレーターを務め、金獅子賞を受賞した寺本健一さん=寺本さん提供

 今夏の東京五輪では日本人選手のメダルラッシュが続いたが、「建築のオリンピック」と呼ばれる催しをご存じだろうか。イタリアで2年に1度開かれるベネチア・ビエンナーレ国際建築展(11月まで開催)。今年は17回目となり、その「国別参加部門」でアラブ首長国連邦(UAE)の作品がグランプリにあたる金獅子賞に輝いた。UAEのキュレーターとして活躍したのが、建築家の寺本健一さん(47)。キュレーターとは、映画でいえば監督のような中心的存在だ。だがそもそも、なぜ日本でなくUAEに携わったのか。また今回の受賞の意味とは何だろうか。寺本さんに聞いた。【平林由梨/学芸部】

なぜドバイに?

 取材は受賞決定の翌日。コロナ禍の終息が見えてこないこのご時世なので、オンラインでお願いした。開口一番、「とても驚いています。自分の足元にある個性や特徴を見つめながら取り組んできて、それが世界につながった。感激です」と語った。ニコニコしていて、画面越しにも喜びが伝わってくる。受賞はオンライン配信で知ったそうで、本当は現地に渡航したかったが、ワクチン接種が間に合わず、かなわなかったという。

 ベネチア・ビエンナーレ国際建築展は、イタリア北部・ベネチアで隔年開催される。その中の国別参加部門は、国同士が威信をかけて受賞を狙うメインどころだ。

 近年の日本人の活躍はめざましい。

 国別参加部門では、日本館は1996年と2012年の2度、金獅子賞を受賞している。それぞれ、磯崎新さん、伊東豊雄さんが展示を総合的に統括する「コミッショナー」を務め、注目を集めた。

 だがいずれも、日本という枠での受賞だ。今回の寺本さんのケースをどう考えればいいのだろうか。

 そもそも国別の展示について、国籍を異にするアーティストが担うのは珍しいケースではない。これまでにも…

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