「僕はなぜ襲われたのか」 硫酸事件被害者 初めて口を開いた

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事件発生直後の東京メトロ白金高輪駅=東京都港区で2021年8月24日午後11時21分、木原真希撮影
事件発生直後の東京メトロ白金高輪駅=東京都港区で2021年8月24日午後11時21分、木原真希撮影

 体に大きく残る傷が事件の衝撃を物語っていた。8月24日夜に東京都港区の東京メトロ南北線白金高輪駅で硫酸をかけたとして大学生の花森弘卓(ひろたか)容疑者(25)=静岡市葵区、鑑定留置中=が傷害容疑で逮捕された事件で、被害に遭った会社員の男性(22)が毎日新聞の取材に応じ、事件に至るまでの経緯や当日の状況、現在の心境を語った。「なぜ襲われたのか」。男性は今も疑問をぬぐえないでいる。【宮城裕也】

 「あまり気持ちの良いものじゃないですが……」。9月中旬にオンラインでの取材に応じた男性は遠慮がちに全治6カ月のけがの状態を記者に見せた。右半身を中心にやけどの痕が残り、肩や背中、右腕は大きなガーゼで覆われていた。右耳には大きなかさぶたが目立つ。顔は右半分が赤く変色し、画面越しでも痛々しい。視力も低下し、片方の目は医療用コンタクトレンズをつけないと見えない状態という。

 それでも看護師からは「驚異的な回復速度」と言われている。今月25日には退院し、関東地方の実家で静養を続ける。「家族がショックを受けていて、実家に戻る時に僕の顔を見て事件を思い出させるのはつらい」と男性は話す。

大学時代の「絶縁状」

 男性が花森容疑者と知り合ったのは、琉球大(沖縄県)に進学した2017年4月だった。1年早く入学していた花森容疑者と同じ時期に映画研究サークルに入ったが、花森容疑者は自分の学年を周囲にきちんと説明しておらず、男性は同学年と思って接していた。

 男性を含むサークルのメンバーは、花森容疑者が筋力トレーニングに熱心に取り組み、ジムのインストラクターのようだったことから「コーチ」と呼んだ。トレーニングや趣味の生物の知識を一方的に熱弁することはあったが、自身についてはほとんど語らなかったという。

 数カ月後、花森容疑者から…

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