水俣病理解と継承に期待 映画「MINAMATA」に新潟の関係者

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「MINAMATA」の一場面。ユージン・スミス役のジョニーデップさん(右)と妻アイリーン役の美波さん=(C) Larry Horricks 拡大
「MINAMATA」の一場面。ユージン・スミス役のジョニーデップさん(右)と妻アイリーン役の美波さん=(C) Larry Horricks

 水俣病被害を世界に伝えた米国の写真家、ユージン・スミス(1918~78年)を題材にした映画「MINAMATA―ミナマタ―」が全国で公開されている。これに合わせ、新潟水俣病の関係者らが映画を水俣病の正しい理解と記憶の継承につなげようと、「MINAMATAプロジェクト」を発足させた。【池田真由香】

 映画の原作は、ユージン・スミスと妻のアイリーン・美緒子・スミスさんの共作写真集「MINAMATA」。1975年に英語版(日本語版は80年)が出版された。水俣病の悲惨さ、公害の恐ろしさを伝え、世界に衝撃を与えた。

 夫妻は1970年代に米国の写真雑誌「LIFE」の取材で熊本県水俣市を訪れた。その後3年間、現地で暮らしながら、患者やその家族の日常生活、原因企業チッソへの抗議活動などを撮影し続けた。映画は夫妻の姿を描いている。

 人気俳優、ジョニー・デップさんがプロデューサーと主演を務め、ユージン役を演じている。アイリーンさん役は俳優の美波さん。他は、患者救済活動の中心的人物を真田広之さん、チッソ社長を國村隼さんが演じた。

 映画は事実と異なる演出も交え、経済を優先することによって人々の生命、健康が奪われる理不尽さを伝えている。チッソ社長が水俣工場の排水に含まれる有毒のメチル水銀について「微量なら存在しないも同じだ」と言い放ちユージンや患者らと激しく対立する場面をはじめ、終盤には世界各地で起きている公害や原発事故の紹介シーンも。現在までチッソや日本政府が十分な責任をとっていないとのメッセージも発信している。

公開に合わせプロジェクト発足

 全国公開に合わせ、新潟水俣病の関係者らがMINAMATAプロジェクトを発足。メンバーはそれぞれ、公開初日の23日に作品を鑑賞した。

 新潟訴訟原告団長の皆川栄一さん(78)は「素晴らしい映画で感動した。水俣病の問題は終わっていない。裁判に生かせる映画であり、勝利につなげたい」と絶賛。阿賀野患者会事務局長、酢山省三さん(74)は「ドキュメンタリーとは違うメッセージ性があった」と感想を語った。酢山さんはユージンが新潟水俣病訴訟の地裁判決に合わせて新潟を訪れた際、直接言葉を交わしたという。

 映画の感想を語り合った後は、新潟水俣病患者が初めて確認されて以降の法廷闘争などを記録したドキュメンタリー映画「公害とたたかう」(1968年製作)も視聴した。

 プロジェクトは今後、映画館シネ・ウインド(新潟市中央区)などと連携して活動する。「MINAMATA」関連イベントなどを通して水俣病について考え、正しく理解してもらう機会をつくっていくという。シネ・ウインドの井上経久支配人(53)は「我々は地域に根ざした映画館。水俣病を次世代に継承する力になれれば」と話している。

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