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行動制限緩和、期待と懸念 苦境の観光業界 感染防止策両立が課題

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ホテル入り口に設置された新型コロナウイルス感染対策の看板を整える従業員=大阪市中央区のホテル日航大阪で2021年9月22日、藤井達也撮影
ホテル入り口に設置された新型コロナウイルス感染対策の看板を整える従業員=大阪市中央区のホテル日航大阪で2021年9月22日、藤井達也撮影

 秋以降をめどに新型コロナウイルスの行動制限を緩和するとの政府方針に、厳しい状況が続いてきた旅行業界が期待を寄せている。ワクチン接種の進展が背景にあり、接種済みの人を対象にしたツアー販売など政府に先んじた動きもある。一方で「緩み」による感染再拡大を懸念する声も強く、感染防止対策との両立が課題となる。

 「お客様からの問い合わせは多く、反応は好調です」。旅行大手の阪急交通社(大阪市)は政府の緩和方針を受け、15日からワクチン接種者向けの専用ツアー申し込みページを開設した。2回接種者か検査で陰性が確認できた人を対象とし、10月後半以降出発の100コース以上を用意している。紅葉の時期に京都、奈良に向かうツアーの人気が特に高いといい、広報担当者は「接種を終えたお客様に、感染対策をより徹底しながら楽しんでもらえれば」と話す。

阪急交通社は新型コロナウイルスのワクチンを2回接種済みの人やPCR検査で陰性を確認できた人に限定したツアーを用意している=同社のホームページから
阪急交通社は新型コロナウイルスのワクチンを2回接種済みの人やPCR検査で陰性を確認できた人に限定したツアーを用意している=同社のホームページから

 旅行会社のクラブツーリズム(東京)は主要顧客層となる高齢者のワクチン接種が進んだことから、政府方針発表前の8月下旬から2回接種者を対象としたツアー(出発は10月末以降)の販売を開始した。「未接種者への差別とならないように」(広報)と価格は通常と同じで、未接種者も別日程などで申し込めるコースもある。

 打撃を受けてきたホテルの受け止めはどうか。政府の緩和方針では、ワクチン接種などを条件に都道府県境を越える移動も認める。ホテル日航大阪(大阪市中央区)の広報担当者は「うちのホテルでは関西圏よりも首都圏からの宿泊客が多い。十分に感染対策を取った上で、ワクチン接種をした方が泊まりに来てくれることになればありがたい」と歓迎する。

ロビーの手すりを消毒する従業員=大阪市中央区のホテル日航大阪で2021年9月22日、藤井達也撮影
ロビーの手すりを消毒する従業員=大阪市中央区のホテル日航大阪で2021年9月22日、藤井達也撮影

 ホテルは大阪・ミナミに位置し、コロナ禍前は訪日外国人(インバウンド)でにぎわっていた。政府の旅行需要喚起策「GoToトラベル」で昨秋は宿泊客数が一時的に回復したものの、その後は「低空飛行が続いている」という。利用促進策としてテレワークのための日中利用や長期滞在プランなどに加え、新型コロナ終息の一助になればと「ワクチン接種応援プラン」を7月にスタート。2回接種した人を対象に、緑茶やビール、駐車場無料といった特典を付けた。

 だが、こうしたさまざまな策を講じても、客室稼働率は低いままで打開策となっていない。例年秋は京都や奈良への紅葉狩りの拠点として利用する客も多く、書き入れ時だ。30日を期限とする緊急事態宣言も政府が全面解除を検討しており、広報担当者は「お客様が戻って来ることを期待している。感染対策を徹底しており、安心して来てもらいたい」と語った。

 こうした感染拡大防止と経済活動の両立を期待する声がある一方、制限緩和による感染再拡大も不安視されている。ワクチン2回接種後の「ブレークスルー感染」が国内でも報告されており、海外では行動制限緩和後に感染者が急増している例もある。感染症が専門の二木芳人・昭和大客員教授は「ワクチンは感染リスクを下げるが100%防げるわけではない」と指摘。「出口戦略として、ある程度緩和が必要な場面は出てくるにせよ、ワクチン接種済みだからと気を緩めることなく、事業者、利用者の双方がこれまで以上に感染防止対策を徹底することがカギとなる」と話している。【大島祥平、野口由紀】

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