豪雨で倒れた岐阜のご神木、倒壊の原因解明 名古屋大のグループ

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根元から倒れた、大湫神明神社のスギ=岐阜県瑞浪市大湫町で2020年7月12日午後0時13分、本社ヘリから山田尚弘撮影 拡大
根元から倒れた、大湫神明神社のスギ=岐阜県瑞浪市大湫町で2020年7月12日午後0時13分、本社ヘリから山田尚弘撮影

 「令和2年7月豪雨」の際に倒れた岐阜県瑞浪市大湫(おおくて)町の「大湫神明神社」の樹齢約670年のスギ(高さ40メートル超、幹回り約11メートル)の倒木原因を、名古屋大大学院の平野恭弘准教授(森林科学)らの研究グループが解明した。当時は豪雨により地盤が緩んだことが原因とされたが、それだけでなく、根の体積が幹に比べて小さく、豪雨による土壌水分量の増加や経年腐朽などの要因も加わってバランスを崩したとしている。研究成果は根研究学会誌「根の研究」に27日、掲載される。

 スギは中山道の宿場町を行き来する人々を見守り続けたご神木として知られてきたが、豪雨発生を受け、2020年7月11日夜に根元から倒れた。もともと樹齢1200~1300年と推定されていたが、倒木後、名大などの調査で樹齢約670年と修正された。

レーザースキャナーでデジタル化された倒木後のスギ(左が根の部分)=名古屋大などの研究チーム提供 拡大
レーザースキャナーでデジタル化された倒木後のスギ(左が根の部分)=名古屋大などの研究チーム提供

 研究ではレーザースキャナーで樹木全体をデジタル化。根と幹の体積を推定した結果、幹と枝の体積が158立方メートルだったのに対し、根は43立方メートルだった。他のスギに比べ、根の体積の割合が小さいことが分かった。この土地の土壌が硬い特性を持っていた可能性があるという。また、目視により根の中心部で経年による腐朽が確認された。

 さらに、豪雨期間中の日照時間が短く、スギと土壌が乾きにくい環境で土壌と幹の水分量が増加したと推察。以前からの厳しい発達状況に気象条件が加わり、根の支持力が低下してバランスを崩して倒れたと考えられると結論づけた。

 平野准教授は「倒木は豪雨のみが要因ではなかった。今後も豪雨などの際に倒木を防ぐためにも、日ごろから地上部の衰退状況だけでなく、根の育成状況を地中レーダーを活用するなどして評価することが求められる」と話している。【川瀬慎一朗】

ありし日の大湫神明神社のご神木=岐阜県瑞浪市大湫町で2018年6月5日午前10時1分、立松勝撮影 拡大
ありし日の大湫神明神社のご神木=岐阜県瑞浪市大湫町で2018年6月5日午前10時1分、立松勝撮影

令和2年7月豪雨

 7月3日から31日にかけて、日本付近に停滞した前線の影響で各地で大雨となり、熊本、大分など10県で86人の死者・行方不明者を出した。岐阜県では7月8日に高山、下呂、恵那など6市に大雨特別警報が発令され、飛驒川の増水で下呂市内の国道41号が約500メートルにわたって崩落した。

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