コロナ禍で揺らぐ思考 美術家・田中功起さんが考える自省と反映
毎日新聞
2021/9/27 09:00(最終更新 9/27 09:00)
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自粛に不要不急、新しい日常……。抽象的な言葉に世界が覆われる今、「個別具体的な生を見つめたい」と美術家の田中功起さん(45)は言う。他者の経験を束ねる「抽象」をキーワードに、協働の可能性を考えてきた田中さんにとって、コロナ禍はその方法論から見直す契機になった。新刊「リフレクティヴ・ノート(選集)」(美術出版社)は、そんな作家の思考の揺らぎを寄せ集めたエッセー集のような本だ。
本書は2020年の韓国での個展にあわせて刊行され、13~20年に発表したテキストを主に収録する。制作過程での気づきや反省を書き留めた各作品の「プロダクション・ノート」(抜粋)など16本が時間と場所を行き来するように並び、英語・韓国語訳がその都度差し挟まれる。結果、一つ一つのテキストが断片化し、すんなりと読むことを阻むような構成だ。「そもそも人間の経験自体、いざ思い出そうとすると、部分、部分しか覚…
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