官邸主導とは何だったのか 内閣人事局「生みの親」が語る安倍・菅政権
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安倍晋三政権、菅義偉政権は省庁人事を差配する内閣人事局を使った「官邸主導」の政治手法で霞が関を支配した。政策決定の迅速化や省庁の縦割り打破につながった一方で、官僚の萎縮を招き政策がゆがんだという弊害も指摘される。官僚出身で民主党の参院議員として行政改革に携わり、「内閣人事局の生みの親」の一人でもある松井孝治元官房副長官(慶応義塾大教授)は、自戒も込めつつ「行き過ぎた官邸主導になってしまった。見直しが必要」と指摘する。松井氏に、両政権の官邸主導であらわになった課題を聞いた。【松倉佑輔/デジタル報道センター】
菅流「恐怖政治」が残したもの
――松井さんは通商産業省の官僚時代、橋本龍太郎元首相が推進した「橋本行革」に携わり、民主党議員としても2008年の国家公務員制度改革基本法の与野党協議を担いました。菅政権の官邸主導をどう見ていましたか。
◆菅さんは内閣人事局を、恐怖政治的に使いました。役人時代の同僚は、菅さんから「後で残ってくれ」と言われると「背筋が凍った」と話していましたね。
霞が関ではみんな、実際に官邸に反発した役人の左遷と気に入られた幹部の昇進を見ているわけです。抜てきと一罰百戒の見せしめによる恐怖政治です。総理や官房長官が人事権を使うのは当然だし想定していたことですが、長官任期の長期化もあって、人事権の主導権は完全に菅長官に握られ、少々バランスが崩れました。その結果、局長レベルにとどまらず、課長や課長補佐まで「政権の意向」を模索するようになってしまった。「政権の意向にそぐわなければ、仕事ができない」という受け止めが強くなりすぎたと思います。組織コントロールとしては有効なやり方ですが、行き過ぎましたね。
――現場の官僚が萎縮することによって、政策がゆがむという指摘もありますが。
◆「政権の意向だから」ということで現場が押し黙ってしまうと、組織として政策の分析や比較衡量が困難になり、役所の組織としての基礎体力を奪っていきます。霞が関の恒常的な人員不足…
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