女子大で全国初の工学部 「男性の学問」イメージ打破へ 奈良女子大

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奈良女子大=奈良市で2021年4月、久保聡撮影 拡大
奈良女子大=奈良市で2021年4月、久保聡撮影

 奈良女子大(奈良市)が2022年春、女子大では全国初となる工学部を設置する。文部科学省が実施した学校基本調査(20年度)によると、工学部の学生に占める女性の割合は約15%と低い。そうした現状の中、新たに作られる工学部ではどのような人材の育成を目指すのか。学部長に就任する藤田盟児教授(61)に話を聞いた。【聞き手・加藤佑輔】

 ――工学部設置の目的は

 ◆エンジニアとして活躍している女性が世界的に見ても非常に少ないという問題があります。今の工学は、男性中心の世界と言っても過言ではありません。ですが、女性だからこそ発想できるデザインや機能などの視点を取り入れれば、より工学の世界に幅が生まれます。「工学は男性の学問」というイメージを打破するためにも、女子大として自分たちが動き出さなければと考えました。

工学部設置の狙いを語る藤田盟児教授=奈良市の奈良女子大で2021年8月31日午後0時28分、加藤佑輔撮影 拡大
工学部設置の狙いを語る藤田盟児教授=奈良市の奈良女子大で2021年8月31日午後0時28分、加藤佑輔撮影

 ――具体的にはどのような分野を学べるのですか

 ◆カリキュラムは、環境デザイン分野と人間情報分野の大きく二つに分かれています。環境デザイン分野では、建築家や環境工学のエンジニアから、私たちの身の回りの環境をより快適なものに改善するデザイン手法を学んだり、分子レベルで工業製品の基盤となる材料を研究したりします。人間情報分野では、プログラミングやデータ解析、医学と工学の領域が融合した「生体医工学」などを学び、ハードウエアやソフトウエアの開発、医療や福祉の発展などに貢献できる能力を身につけます。

 ――工学部では、「自己プロデュース」や「起業論」といった科目も開設されるとのことですが、その狙いは

 ◆「自己プロデュース」では、自分自身の考え方や強み、何に興味があるかなどを浮き彫りにし、将来設計してもらう授業を考えています。一方、「起業論」では、女性の起業家を招き、実体験をベースに女性のキャリア形成などを学びます。イノベーションを起こす人は、自分自身を理解しており、信念を実現させるという強い気持ちがあります。ただ専門知識を学ぶだけでなく、プロジェクトのリーダーとして主体的に動き、活躍できる人材を育成したいと考えています。

 ――工学部に興味を持っている受験生にメッセージを

 ◆年次にかかわらず自由に科目選択できるので、学生自身の価値観に基づいた履修によって、求める専門性を身につけることが可能です。学生に望むことは、自分に適した工学を見つけ、学んでほしいということです。「女性が活躍できる場を広げていく」ことは、大学設立時からの使命で、工学部設置はそのためにも重要な取り組みとなるのです。豊かな社会を構築する「工学系リーダー」になりたいと考える人は、ぜひ工学部で学んでほしいと思います。

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