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都市対抗野球2021

社会人野球日本一を決める第92回都市対抗野球大会(11月28日~12月9日)に関する特集サイトです。

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市民球団「かずさマジック」コロナの試練 心一つにした主将の言葉

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コロナ禍の前は、球場開きなどのイベントに多くの市民が集まり、選手と交流を深めた。こうした交流の場はまだ戻っていない=君津市で2017年3月5日、円谷美晶撮影
コロナ禍の前は、球場開きなどのイベントに多くの市民が集まり、選手と交流を深めた。こうした交流の場はまだ戻っていない=君津市で2017年3月5日、円谷美晶撮影

 都市対抗南関東2次予選で、3年ぶりの東京ドームを目指す日本製鉄かずさマジック(君津市)は昨年、どん底を見た。はい上がる途中には試練もあった。チームを一つにしたのは、主将が4枚の紙につづった言葉。再起をはかる「市民球団」の今を追った。【円谷美晶】

忘れられない敗戦

 「野球人生で初めて、というくらい何も考えられなかった」。プロ野球・ロッテや米独立リーグでプレーし、豊富なキャリアを持つ渡辺俊介監督(45)は、1年前をそう振り返る。2020年10月の南関東2次予選。負ければ後がない第2代表決定トーナメント1回戦で、参入1年目のクラブチーム「ハナマウイ」に3―5で競り負け、予選敗退した。抑えで登板した今年5年目の松尾雄亮投手(27)は「味わったことのない悔しさで、放心状態だった」と話す。スタッフも選手も、現実を受け止めるのに時間がかかった。

 早すぎるシーズンの終わりを迎えると、長くけん引したベテランや中堅など、コーチ兼任を含め計13人が勇退・移籍した。若返ったチームは、「(都市対抗と日本選手権の)両ドーム出場」「南関東第1代表」を掲げ、冬場は歯を食いしばってバットを振りこみ、土台の技術から鍛え直した。

 再建の先頭に立ったのは、最年長になった10年目の田中健内野手(31)だ。13年の日本選手権優勝を経験し、16~19年シーズンには主将を務めた。今季、「強いチームにするため、覚悟を決めた」と2年ぶりに主将に復帰。自らが考案した「魂~練習は試合の如(ごと)く、試合は練習の如く~」のチームスローガンの下、練習中から「これが予選なら負けるぞ」「これが試合だったらどうだ」と、高い意識と緊張感を求めた。一方で、スタッフと選手のかけ橋となり、チームの結束を図ってきた。前向きなかけ声が増え、「今のチームなら戦える」と手応えを感じていた。

 そのさなか、試練が襲った。5月末にチーム内で新型コロナウイルスへの感染が判明。日本選手権の出場をかけた関東代表決定戦は、開幕当日の5月31日に辞退が発表された。チームの重要な一歩となるはずだっただけに、ショックは大きかった。

 2週間の自宅待機後、全体練習が再開しても空気は重かった。オープン戦では引き分けを挟んで5連敗を喫した。「このままではまずい」と危機感を覚えた田中は、慣れないパソコンの前に座った…

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