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水車小屋のネネ

物語の主人公は、小学3年生の律とその姉で18歳の理佐。冷淡な親から逃げて山あいの町にたどり着き、隣人らに見守られながら大人になっていく――。

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水車小屋のネネ

/72 津村記久子 画 北澤平祐

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 浪子さんは、次の週も当たり前のように理佐を誘ってきて、やはり叔母さんのところに律を預けることになった。叔母さんと守さんと律の三人は、今熱心に探検隊のドキュメンタリーを見ているらしい。

 理佐が参加した三回目の会議で、郵便局の真壁さんはひどく渋い顔で「衣装」と黒板に書いた。これまで活発な意見交換が交わされた二回とは打って変わって、参加者たちは沈黙した。

 うち、田舎でしょう、と商工会議所に向かう道すがら、浪子さんは話していた。会に出るグループの中でもいちばん田舎なの。繕い物が得意な人もいない。で、歌はあんまり良くないんだけど、ちょっとだけ都会に近い昔からの住宅地から来てるオホホって感じの団体さんがあるのね、その人たちに毎回「シンプルな衣装ですね」って言われるのよ。

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