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法話グランプリ また会いたいのは、誰? 出場者8組を紹介 来月30日開催

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「H1法話グランプリ2021」の大会ロゴ=実行委員会提供 拡大
「H1法話グランプリ2021」の大会ロゴ=実行委員会提供

 宗派を超えた若手僧侶たちが法話を披露し合い「もう一度会いたいお坊さん」ナンバーワンを目指すイベント「H1法話グランプリ2021」(実行委員会主催、毎日新聞社など後援)が10月30日、奈良市のなら100年会館で開かれる。舞台に上がる個性豊かな8組9人の出場者たちを紹介する。【花澤茂人、特記のない写真は花澤撮影】

お経の現代語訳を 小林正尚(せいしょう)さん(38) 日蓮宗・見法寺(山梨県北杜市)住職

H1法話グランプリ2021に登壇する小林正尚(せいしょう)さん=奈良市で2021年7月29日午後2時7分、花澤茂人撮影 拡大
H1法話グランプリ2021に登壇する小林正尚(せいしょう)さん=奈良市で2021年7月29日午後2時7分、花澤茂人撮影

 一般家庭出身で、寺の長女との結婚を機に26歳で脱サラし僧侶となった。親しみやすい人柄もあり、寺には「住職、一緒にお茶でも」と近隣住民がひっきりなしに訪れる。4年前からは地域の民生・児童委員も務める。

 修行中に先輩僧侶から法話の大切さをたたき込まれ、法事では必ず5分ほどの話をする。「法話はお経の現代語訳。お経だけで伝えるには力不足なので、補足説明のようなもの」。昨年に動画投稿サイト「ユーチューブ」での発信も始めた。ユニークな動画が評判で、チャンネル登録者数も1700人を超える。

 会場となる奈良は10歳までの少年時代を過ごした地。「自分自身の成長を楽しみたい」と意気込む。

苦しみに寄り添う 関本和弘(わこう)さん(44) 融通念仏宗・大念寺(大阪府寝屋川市)副住職

H1法話グランプリ2021に登壇する関本和弘(わこう)さん=奈良市で2021年7月29日午後2時21分、花澤茂人撮影 拡大
H1法話グランプリ2021に登壇する関本和弘(わこう)さん=奈良市で2021年7月29日午後2時21分、花澤茂人撮影

 寺に生まれたが、大学院で認知科学を学び、一般企業から内定ももらった。「寺には定年退職後に戻ればいいかな、と」。しかし家族の急病を機に僧侶として歩む覚悟を決めた。27歳だった。

 法話も苦手だったが宗派の「布教師会」で学び、週1回ほど人前に立つ。「例えるなら、薬を飲んでもらうためにどんな話をするか。薬効を読み上げるだけでなく行動してもらえる話を」と意識する。

 およそ15年前、学生時代の友人が自ら命を絶った。それをきっかけに自殺防止の電話ボランティアを始め「自死に向き合う関西僧侶の会」を設立するなど、苦しむ人に寄り添う努力を続ける。「耳を傾ける経験は法話にも通じる。みなさんの呼吸を見ながら話したい」

ライブ感を大事に 畔柳優世(くろやなぎ・ゆうせ)さん(43) 浄土宗西山深草派・養寿寺(愛知県西尾市)住職

H1法話グランプリ2021に登壇する畔柳優世(くろやなぎ・ゆうせ)さん=奈良市で2021年7月29日午後2時27分、花澤茂人撮影 拡大
H1法話グランプリ2021に登壇する畔柳優世(くろやなぎ・ゆうせ)さん=奈良市で2021年7月29日午後2時27分、花澤茂人撮影

 サラリーマン家庭出身で、結婚を機に江戸時代から伝わる伝統のお祭り「矢田のおかげん」で知られる古刹(こさつ)の僧侶となった。懸命に仏教学を学び、法話も宗派の講習所で厳しい指導を受けた。

 ある時、法話の歴史の研究書を読み、古来先人たちがさまざまな「型(かた)」を作り上げてきたことを知った。「自分も歴史の中の点に過ぎないが、だからこそ次世代につないでいく責任がある」。伝統を守りつつ自分なりの型を築こうと、講談教室に通い独特の語りも学んだ。

 「法話はライブで」というのが信念。他寺のお祭りに出向き「ストリート法話」に挑んだこともある。H1の会場で「仏教に詳しくない方の心もえぐるような話ができるか、力を試したい」。

心と人生の置き薬 田中宣照(せんしょう)さん(44) 高野山真言宗・西室院(神戸市兵庫区)住職

H1法話グランプリ2021に登壇する田中宣照さん=奈良市で2021年7月29日午後2時31分、花澤茂人撮影 拡大
H1法話グランプリ2021に登壇する田中宣照さん=奈良市で2021年7月29日午後2時31分、花澤茂人撮影

 「幼い頃から身近に法話があった」。先代住職だった父(故人)が法話などを通じて教えを広める宗派の「本山布教師」で、寺に他の布教師を招くことも多かった。自身もこの春に資格を取得。「法話は心の置き薬。必要な時に思い出し、共に人生を歩んでいただくもの」と語る。

 3年前、神戸市で真言宗僧侶だけの「H1」が開かれた際には司会を務めた。今回も「仏教で世の中を救おうという実行委員の仲間たちの思いに応えたい」とエントリー。出場者に立場を変えて大会をもり立てる。

 高校時代は野球部で甲子園を目指した。「法話は基本的には個人プレーだが、H1は大会に関わる全員のチームプレー。しっかり自分の役目を果たしたい」

若者と寺の縁結ぶ 舟川智也さん(43) 浄土真宗本願寺派・両徳寺(福岡県行橋市)住職

H1法話グランプリ2021に登壇する舟川智也さん=本人提供 拡大
H1法話グランプリ2021に登壇する舟川智也さん=本人提供

 26歳で宗派の「布教使」養成課程を卒業し、法話のキャリアは20年近い。新型コロナウイルス禍となった昨年には「皆さんが教えを聴く場を守りたい」と「ユーチューブ」での法話も始めた。ある時、生きる望みを失っていたという視聴者から「もう少し生きてみようと思った」とコメントが届いた。「伝えてきたことが間違いではなかったと感じ、うれしかった」とやりがいを感じた。

 寺や仏教と関わりの薄かった若者や子どもたちとの縁を結ぶ活動もしており、H1も「その一助になる」と考えて応募を決めた。自身も双子の女の子を持つ父親。「これをきっかけに『近くのお寺に法話を聴きに行ってみよう』と思う若者が増えたら」と期待している。

先輩の背中に学ぶ 野田晋明(しんみょう)さん(31) 臨済宗妙心寺派・林昌寺(愛知県春日井市)副住職

H1法話グランプリ2021に登壇する野田晋明(しんみょう)さん=本人提供 拡大
H1法話グランプリ2021に登壇する野田晋明(しんみょう)さん=本人提供

 出場者の中で最年少。「先輩たちから学ばせていただきたい」と謙虚に語る。

 禅僧は「背中で語る」というイメージも強いが、身近な先輩僧侶が分かりやすく深い内容の法話をする姿を見て「言葉で丁寧に仏教を伝えることも大事」と感じ、6年前から自らも本格的に法話の勉強を始めた。「安心や希望を届けるためには、自分自身が仏教によって救われているという実感が欠かせない」。修行は始まったばかりと感じている。

 NPOに参加するなど寺外でも活動の場を持つ。「多くの出会いがあり、僧侶の世界だけでは見えにくい視座を得られた」。一般の来場者からの評価を得られるH1も「自分を客観視する貴重な機会」と期待を膨らませる。

自身を試す場所に 中田定慧(じょうけい)さん(38) 華厳宗・隔夜寺(かくやじ)(奈良市)住職

H1法話グランプリ2021に登壇する中田定慧(じょうけい)さん=奈良市で2021年7月29日午後2時37分、花澤茂人撮影 拡大
H1法話グランプリ2021に登壇する中田定慧(じょうけい)さん=奈良市で2021年7月29日午後2時37分、花澤茂人撮影

 出場者中唯一、開催地の奈良を拠点とする僧侶。大学時代には落語研究会に所属するなど人前で話すことが好きで「地元が会場と知り、出場するよう導かれていると感じた」。

 普段は、数々の国宝仏で知られる古刹(こさつ)・新薬師寺(奈良市)で法務を担うことが多い。参拝者に仏像や寺の歴史について語ることもあるが、大きなホールで話すのは未体験。「自分が試される。まずはしっかり大きな声で」と表情を引き締める。

 華厳宗の本山は東大寺。二月堂で1300年近く続く伝統の法会「修二会」(お水取り)には、自身も毎年のように参籠(さんろう)している。「仏様が発している気持ちの強さを感じる。法話でもそれを伝えたい」と意気込む。

地元ラジオで活躍 破石晋照(はせきしんしょう)さん(41)=写真右 天台宗・金剛院(岩手県平泉町)副住職 南洞法玲(なんとうほうれい)さん(42)=同左 天台宗・寿徳院(同町)住職

H1法話グランプリ2021に登壇する(右から)破石晋照(はせき・しんしょう)さん、南洞法玲(なんとう・ほうれい)さんのコンビ=本人提供 拡大
H1法話グランプリ2021に登壇する(右から)破石晋照(はせき・しんしょう)さん、南洞法玲(なんとう・ほうれい)さんのコンビ=本人提供

 世界遺産・中尊寺と毛越寺の僧侶、尼僧コンビ。もともと小中学校の同級生で、5年ほど前から「もっとお寺に親しみを持ってもらいたい」と掛け合いの法話を始め、地域のお店や公民館などで披露してきた。2020年秋からは地元ラジオ局で番組を持つなど地域でも人気だ。

 破石さんは狂言師としての顔も持ち「芸能は本来、宗教のメッセージを伝える手段だった」と法話にも芸能の要素を盛り込む。南洞さんはしんきゅう師の専門学校での教員経験がある。多彩な視点が2人の持ち味だ。

 会場となる関西は「完全アウェー」と破石さん。一方で「普段とは違う方たちにどう受け止められるか、自分たちがどう感じるか、とても楽しみ」と出番を待つ。


8組の法話DVDに

 毎日新聞社では、すべての法話を収めたDVDを製作、販売します(審査員による講評、特別講話は収録しません)。定価3300円(予定価格、税込み、送料別)ですが、10月29日までにお申し込みの方には1割引きの特別価格3000円(同)で販売します。DVDの発送は12月中旬ごろの予定です。

 詳細、お申し込みは「つなぐ寺」ホームページ=QRコード=から。問い合わせは毎日新聞社「つなぐ寺」プロジェクト(tsunagu-dera@mainichi.co.jp)。

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