特集

新型コロナウイルス

新型コロナウイルスのニュース、国内での感染状況を報告します。

特集一覧

「外食は“悪”のイメージ払拭を」 酒提供可の飲食店、政府に注文

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
開店前にアクリル板を拭く出口彰さん=大阪市北区の洋食店「フィレール」で2021年9月24日、久保玲撮影 拡大
開店前にアクリル板を拭く出口彰さん=大阪市北区の洋食店「フィレール」で2021年9月24日、久保玲撮影

 19都道府県に出されている新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が、30日の期限をもって解除されることになった。大阪府では8月2日に始まった宣言が2カ月ぶりに解除されることになり、客足が遠のいていた飲食店やイベント関係者らの間では期待も高まる。一方、医療関係者らの間ではリバウンド(感染再拡大)を懸念する声もある。

 大阪市北区で洋食店「フィレール」を経営する出口彰さん(33)は「酒が出せるようになるのはありがたい」と話す。

 店は9月上旬、感染防止策を徹底している飲食店と認められ、府の第三者認証「ゴールドステッカー」を取得した。だが、宣言期間中は酒類の販売はできない。ワインに合う料理をセットで提供することが店の売りであるため、厳しい状況が続いていた。

開店準備をする出口彰さん=大阪市北区の洋食店「フィレール」で2021年9月24日、久保玲撮影 拡大
開店準備をする出口彰さん=大阪市北区の洋食店「フィレール」で2021年9月24日、久保玲撮影

 府は宣言解除に伴って認証店では酒の提供を容認する方針だが、出口さんは複雑な心情ものぞかせる。「解除で再び感染者が増加し、繁忙期の冬に影響が出てしまうのではないかという不安もある。政府には外食は『悪』というイメージを払拭(ふっしょく)できるようなPRをして」と注文をつけた。

 京都市内の劇場やギャラリーで10月1日に開幕する「KYOTO EXPERIMENT」(京都国際舞台芸術祭)の共同ディレクター、川崎陽子さん(39)は「ひとまずホッとした」と語る。

 同芸術祭は10月24日まで演劇やダンス、美術といったジャンルを横断する実験的な企画を展開する。宣言発令により各会場で定員の50%を上限にチケットを販売しているが、1週間ほど前から売れ行きが伸びており、京都府による要請内容を見極めて販売枚数を増やすか各会場と協議するという。川崎さんは「解除されても気を抜かず、出演者と観客の動線を分けるなど基本的な対策に丁寧に取り組みたい」としている。

 2カ月半ぶりの宣言解除となる東京都。浅草で人力車のサービスを運営する「時代屋」の代表取締役、藤原英則さん(65)は「やっと、という一言に尽きる。長い間、耐えながら待っていた」と歓迎した。観光客数が落ち込み、多い時で1日20台以上が稼働していた人力車は最近、5台ほどにとどまっていた。宣言解除は朗報だが、2020年の二の舞いにならないか心配だ。政府の旅行需要喚起策「GoToトラベル」で客足が戻りつつあったのに、感染再拡大でストップして後は苦境が続いた。「可能な限り、感染対策の徹底を続けたい」と話す。

リバウンドを懸念する医療関係者

 大阪府内の保健所でコロナ対応に追われてきた40代の女性保健師は宣言解除について「コロナと共存する道しかない」という気持ちだと明かした。

 「第5波」では府内でも感染者が過去最多を更新したが、保健所では高齢患者に対応する割合が減った。高齢者へのワクチン接種が進んだためとみられ、感染者数の多さに比べると入院調整をしやすかった印象があるという。

 ただし年末に向けて、「第6波」の懸念が専門家の間にも広がっている。「府は飲食店などへの集客のキャンペーンに予算を使うようだが、どこの診療所でも治療が受けられる体制を整えたり、コロナであおりを受けた貧困世帯の支援に使ったりした方がよいのでは」と指摘した。

 大阪市内の病院でコロナ対応をしてきた30代の女性看護師もリバウンドへの危機感を抱く。今回の宣言解除について「(感染者が減った)このタイミングなら仕方がない」と語る。

 第5波では、病院でも病床の逼迫(ひっぱく)度合いが今春の「第4波」ほどではなかった。患者の年齢層が下がったことが影響したとみられ、「早く治療ができれば、早く治るという印象があった。体調が悪くなったら、ただの風邪と思わずに検査を受けてほしい。若い人でも重症化する人にうつすリスクを考えて」と訴える。

 重症と中等症のコロナ患者を受け入れる昭和大病院(東京都品川区)の相良博典院長によると、同病院の入院患者数はピーク時から半減したものの、重症者を減らすにはまだ時間がかかるという。相良院長は「感染者は確かに減っているが、収束しているわけではない。解除後は移動する人が増えるだろうが、危機意識の薄れにつながらないか心配。今後も感染が再拡大する可能性はあり、注意しなければいけない」と述べ、宣言解除がもたらす影響を懸念する。その上で「感染が減ったのは、人々が厳しい危機意識を持ちながら感染対策をしていたからだろう。解除後も密を避けたり、マスク着用を続けたりすることが重要だ」と話す。【古川幸奈、反橋希美、田畠広景、林奈緒美】

【新型コロナウイルス】

時系列で見る

次に読みたい

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集