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浜崎洋介、古川勝久、上田岳弘、長島有里枝、小田島恒志、マヒトゥ・ザ・ピーポーの各氏が交代でつむぐコラム。

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盗用と差別=長島有里枝(写真家)

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 ヨーロッパの某ハイブランドが、アフリカ系アメリカ人が生んだヒップ・ホップ文化のファッションを盗用したとして批判を浴びている。サギーパンツと呼ばれるそのスタイルは、ズボンをずり落ちそうな位置にベルトで留めて腰穿(ば)きすることを指す。そのため穿いている下着の上部が見えるのだが、わたしが20代の頃はそれがクールだとされ、下着のウエストゴムに編み込まれたブランド名で、ファッションセンスを競い合ったりした。留学から戻ってサギーパンツをしていると、「下着見えてるぞ」と男性から呆(あき)れ気味に注意されたものだ(おじさんにはわかんないか、とこっそり思った)。

 当該ブランドは、下着の上半分がはみ出たように見えるトロンプルイユのスエットパンツとジーンズを販売した。白人の富裕層をターゲットにしたこのブランドが(実際、商品は日本円で13万円相当の価格)、サギースタイルの辿(たど)った人種差別的な歴史への言及や反省なく、これを商品化したことへの批判だ。1990年代以降、サギースタイルは人種を跨(また)いで若者に流行したのに、有色人種の男性たちばかりがこれを理由…

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