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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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昨年から「ハンマー&ダンス」のたとえが用いられてきた…

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 昨年から「ハンマー&ダンス」のたとえが用いられてきた新型コロナへの対応だ。強い行動制限で感染を封じ込める「ハンマー」と、感染防止と経済回復とのバランスをとる「ダンス」のくり返しである▲ワクチン接種の進展や変異株の登場でハンマーもダンスも国ごとに様相を変えてきた最近だが、こちらは約半年ぶりにハンマーを物置にしまい込むというわが国である。さて何よりもバランスが大切なダンスの準備はできているのか▲19都道府県の緊急事態宣言と、8県で出ていたまん延防止等重点措置が、月末の期限をもって全面解除されることになった。自宅療養中の死者が相次いだ感染第5波だが、病床使用率も目安の50%を下回ったのを受けての決定という▲なお行動制限が必要とみられる宣言解除地域でもまん延防止措置は適用されなかった。もしや全面解除は退任する首相の「花道」のつもりかといぶかしむ声が出るのも仕方ない。しまわれたハンマーが気の緩みをもたらさぬよう願う▲政府も宣言解除地域の飲食店の営業時間やイベントの入場者などは当面一定の制限を残し、段階的に緩和する方針を示している。またワクチンの接種証明を飲食店で利用する実証実験を行うなど、新たなダンスのステップも模索する▲「最強の戦士は最良の踊り手だ」とはソクラテスの言葉という。ハンマーを振るうにせよ、ダンスをするにせよ、ウィズコロナ時代の首相に必要なのはリスク認識を国民と共有できるコミュニケーション能力だ。

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