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2021自民党総裁選

岸田文雄首相による新内閣が発足しました。内閣について考察した記事や各国の反応をまとめています。

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岸田次期政権、つきまとう安倍・麻生「長老政治」 独自色に焦点

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自民党総裁選を終え、壇上でたたえ合う(左から)野田聖子幹事長代行、菅義偉首相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、河野太郎行政改革担当相=東京都港区で2021年9月29日午後3時26分、梅村直承撮影
自民党総裁選を終え、壇上でたたえ合う(左から)野田聖子幹事長代行、菅義偉首相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、河野太郎行政改革担当相=東京都港区で2021年9月29日午後3時26分、梅村直承撮影

 29日投開票の自民党総裁選は決選投票の末、岸田文雄前政調会長(64)=岸田派=が制した。党員・党友票で先行した河野太郎行政改革担当相(58)=麻生派=を、安倍晋三前首相や麻生太郎副総理兼財務相、高市早苗前総務相(60)=無派閥=との連携で退けた。次期政権には安倍、麻生両氏の影響力が維持され、衆院選を見据える岸田氏が人事や公約で独自色を出せるかも焦点となる。

岸田氏が信じた「2A」

 「(1回目と決選で)票数が出る度、『あの先生に頑張っていただいたな』と皆さんの顔が浮かんだ」。岸田氏は当選後の陣営報告会で、居並ぶ支持議員たちに感謝した。元々「党員票では河野氏に劣る」とみていた岸田氏陣営は、議員票を着実に積み上げるのが基本戦略。1回目で議員票の4割近くを得て、党員票と合わせて河野氏をわずか1票上回った。1回目は河野氏がトップという事前予想を覆し、岸田氏陣営幹部は「奇跡の1票だ。これで総裁としての正統性も確保された」と漏らした。

 ただし岸田氏の勝利は、1回目で3位の高市氏が3ケタの議員票を獲得し、河野氏が予想を下回る80票台にとどまったことも大きく影響している。高市氏出馬は「自身と疎遠な河野氏の党員票を分散させようと、安倍氏が後押しした」との見方が多かったが、総裁選が進むと「安倍さんは議員に電話攻勢をかけている。本気では」と驚く声が永田町に広がった。

 高市氏の伸長は岸田氏にとってもろ刃の剣だ。河野氏の議員票を減らすのは「2位以内に入って決選投票で河野氏に勝つ」というシナリオに合致する一方で、高市氏に抜かれて3位に沈む事態を恐れた岸田派幹部は「うちは楽観しすぎだ」と神経をとがらせた。

 それでも、「選挙の顔」として自民支持層から期待された河野氏に対抗するため、岸田氏は、最大派閥・細田派に影響力を持つ安倍氏と、第2派閥の麻生派を率いる麻生氏の「2A」を信じて、議員票固めの戦略を続けるしかなかった。

 昨秋の総裁選で菅義偉首相に大敗した後、岸田氏は安倍、麻生両氏と定期的に会合を重ね、6月には両氏を最高顧問とする議連も発足。両氏が交代を迫る二階俊博幹事長を念頭に、党役員任期の「1期1年、連続3期まで」を総裁選公約に掲げ、両氏に秋波を送った。

 一方、安倍氏の側にも高市氏を最後まで支援できない事情があった。岸田氏が2位なら決選投票で高市氏との「2・3位連合」が確実視されたが、保守色の強い高市氏が2位になれば、「決選で穏健な岸田派議員らが河野氏を選びかねない」(高市氏陣営)という懸念だ。このため終盤に安倍氏はトーンダウンした。

 さらに第3派閥・竹下派(51人)が事実上の岸田氏支持を確認し、独自路線を取る参院では細田、竹下、岸田の「3派連合」が岸田氏を支えた。安倍氏は周辺に「岸田さんもたくましくなった」と語ったという。

 28日夜には、岸田派事務総長の根本匠元厚生労働相と、高市氏の選対本部長を務める古屋圭司元国家公安委員長が会談。決選投票では1回目で河野氏を上回った岸田氏と高市氏の「1・3位連合」が成立し、河野氏を突き放した。岸田氏の報告会に駆けつけた高市氏は「力を合わせて党を盛り上げよう」と訴え、岸田氏とグータッチを交わした。

 だが、こうした党内力学で誕生する次期政権は、菅政権に続き、安倍氏と麻生氏の「長老政治」が色濃くつきまとうことになる。温厚で「いろいろなところに気を使いすぎる」(岸田派関係者)と評される、岸田氏自身の発信力も課題だ。

 25日の討論会で「エビフライのしっぽは固いので、残してもいいですか」という小学生の質問に、…

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