「時を巻き戻したい」帰郷巡り家族バラバラ 国の責任問う原発避難者
- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

「時を巻き戻したい」。そう願いながら過ごしてきた10年だった。東京電力福島第1原発事故で福島県から愛媛県に避難した住民ら23人が国と東電に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決。高松高裁は29日、国と東電双方の責任を認め、住民側への支払いを命じた。原告の渡部寛志さん(42)は避難生活で家族がばらばらになり、古里での夢も果たせないままだ。「どうして事故が起きたら止めようもない物を造ったのか」。やりきれない思いは今も消えない。
東日本大震災に伴う原発事故が起きた2011年3月。自宅のある福島県南相馬市小高区は原発から十数キロで、避難指示が出た。農業を営む渡部さんは妻と幼い娘2人を連れて、大学時代を過ごした愛媛県へ避難。同県内で稲作やミカン作りを始めた。
翌年には長男が生まれた。ミカンを収穫するたびにトラックに積み、福島に残る親戚や知人を訪ねた。「突然離れてしまった人たちとのつながりを保ちたい」との思いだった。しかし、家族の間で溝が広がっていた。福島と愛媛を行き来しながら農業を続けようと考えた渡部さんは、全面的な帰郷を求める妻と意見が合わずに離婚。妻は長男と福島に戻った。長女は祖父母と、渡部さんは次女と暮らすようになり、3人の子どもが離れ離…
この記事は有料記事です。
残り1026文字(全文1549文字)
時系列で見る
-
久しぶりの大輪、1.2万人が酔いしれ 岩手・陸前高田で花火大会
717日前 -
遺構になった浪江・請戸小「生で見て」 勤務の教諭が語る3・11
718日前 -
山へ…緊迫1キロ 教諭が語る「あの日起きたこと」 請戸小公開へ
719日前 -
浪江・請戸小 福島で初の震災遺構 津波の記憶伝え 24日公開
719日前動画あり -
福島から避難した生徒の出願 山梨県立大が一時拒否 住民票理由に
720日前 -
トモダチ作戦「誇りに思う」 在米大使館で震災10年イベント
721日前 -
災害の歴史、どう伝える? 東北大准教授が監修、子供向け学習本
723日前 -
遺骨は石巻の92歳と判明、長男の元へ 東日本大震災10年の点検で
724日前 -
震災支援のランドセル、アートに 世界中のアーティストが制作
725日前 -
「時を巻き戻したい」帰郷巡り家族バラバラ 国の責任問う原発避難者
727日前 -
原発避難者愛媛訴訟、高松高裁も国の責任認める 国と東電に賠償命令
727日前 -
両陛下、地震工学会議に出席 被災10年の仙台での開催「意義深い」
728日前 -
原発事故の果樹賠償、東電がルールよりも少額提示 10倍差も
728日前 -
白鵬、誕生日に震災発生は「宿命」 復興支援に尽力、感謝の声
729日前 -
福島・請戸小学校 震災遺構として10月24日から一般公開
732日前 -
原発テロ対策の不備招いた規制委の体制
734日前 -
首相、米国の食品輸入停止撤廃を歓迎 「被災地待ち望んできた」
734日前 -
人の集まる場所に 気仙沼に建築士が「くるくる喫茶」オープン
736日前 -
3団地寄れば文殊の知恵 岩手の災害住宅、独居見守りで勉強会
737日前