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ノーベル賞級の発見、mRNA改良

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新型コロナワクチンの仕組みと発見
新型コロナワクチンの仕組みと発見

 新型コロナウイルスの主なワクチンは遺伝物質のメッセンジャー(m)RNAを使う新しいタイプだ。かつてない速さで開発が成功した背景には、ノーベル賞級とも目される重要な発見があり、日本の研究者も関わる。来週のノーベル賞発表を前に、研究内容に迫った。

ワクチン開発の速さに影響

 新型コロナに感染するとヒトの免疫細胞は、ウイルス表面のトゲ状のスパイクたんぱく質を目印として記憶し、次の侵入に備える。これに対してワクチンは、新型コロナの遺伝情報を持つRNAのうち、スパイクたんぱく質の設計図となる領域から、たんぱく質合成に直接関わるmRNAを人工的に作る。ワクチンを接種すると、体内でスパイクたんぱく質だけが合成される。免疫細胞がこれを外敵と認識することから抗体が生成され、ウイルスへの免疫ができる。

 しかし当初、mRNAは体から異物と見なされ炎症反応が起きるためたんぱく質をうまく作れず、ワクチンには使いにくいという課題があった。これを解決したのが、独バイオ企業ビオンテックのカタリン・カリコ上級副社長らだ。カリコ氏とドリュー・ワイズマン米ペンシルベニア大教授らは、RNAのうち、別の働きをするトランスファー(t)RNAは炎症反応を起こさないことに着目。mRNAの構成部品の一つである「ウリジン」を…

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