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ノーベル賞

「世界で最も権威のある賞」といわれるノーベル賞。今年はどんな研究・活動に贈られるでしょうか。

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ノーベル賞、始まりは「死の商人、死す」は本当か ある発明者の軌跡

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ノーベル賞の創設者、アルフレッド・ノーベルの胸像=スウェーデン・ストックホルムで2018年12月10日、AP
ノーベル賞の創設者、アルフレッド・ノーベルの胸像=スウェーデン・ストックホルムで2018年12月10日、AP

 科学や平和への貢献をたたえる最高の栄誉・ノーベル賞。ダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベルが、自らの死を伝えるフランス紙の誤報「死の商人、死す」にショックを受けたことが設立のきっかけとなったとする有名な逸話がある。この話はどこまで本当なのだろうか。パリの現場を訪ね、取材すると、巨万の富を社会にどう役立てるかに思いを巡らせた晩年の科学者の姿が浮かんだ。

 定説はこうだ。1888年4月12日、母国スウェーデンからフランスに移り住んでいたノーベルが、パリの街角で、自らの死亡を伝える新聞記事を目にする。見出しは「死の商人、死す」。ノーベル本人と兄ルドビグとを取り違えたフランス紙の誤報だったが、汚名が死後もついて回ると悟ったノーベルが、これをきっかけにノーベル賞の創設を決意する。

 実際、石油業を営んだ兄ルドビグとノーベル本人を取り違えた訃報記事が、フランスの国立図書館に残っている。フィガロ紙は88年4月15日付で「人類に貢献した人だとは伝えにくい人物が(仏南部)カンヌで死亡した。ダイナマイトの発明者、スウェーデン人のノーベル氏」と報じた。同紙は翌日、「パリ在住のノーベル氏は健在」との訂正記事も掲載した。

 だが、ノーベルの兄ルドビグが死去した88年4月12日に近い日付のフランス紙で、ノーベルが衝撃を受けたとされる「死の商…

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