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ノーベル賞

「世界で最も権威のある賞」といわれるノーベル賞。今年はどんな研究・活動に贈られるでしょうか。

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科学技術政策の専門家が占う「ノーベル賞を取れなくなる日」

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2012年のノーベル医学生理学賞を受賞し、メダルと証書を受け取った山中伸弥氏=ストックホルムのコンサートホールで2012年12月10日午後(代表撮影)
2012年のノーベル医学生理学賞を受賞し、メダルと証書を受け取った山中伸弥氏=ストックホルムのコンサートホールで2012年12月10日午後(代表撮影)

 今年もノーベル賞の発表の時期が近づいてきた。日本の受賞者は過去27人(米国籍2人を含む)を数え、自然科学3部門では2000年以降19人が受賞。毎年この時期になると「日本人の受賞は?」と関心が高まる。しかし、日本は研究力の低迷が言われて久しい。今後もノーベル賞を生み出す土壌は保たれているのか。科学技術政策に詳しい小林信一・広島大特任教授(65)に聞いた。【鳥井真平/科学環境部】

「研究力低迷、驚くことではない」

 ――日本のノーベル賞受賞者数は今後どのように推移すると見ていますか。

 ◆過去の例を見ると、ノーベル賞は20~30年前の研究成果が評価されて受賞が決まることが多い。日本は17~19年に発表された自然科学分野の論文で、論文の注目度を示す被引用数が上位10%に入る論文数が過去最低の世界10位に後退しました。日本の低迷は00年代から続いています。20~30年のスパンで考えると、今後は受賞者が徐々に減っていくと見ています。

 近年は社会に役立つものも授与対象として評価するようになってきているため、民間企業の研究者の受賞が増える可能性もあります。しかし、その後は受賞者が出ない時期が来るのではないでしょうか。これまでの日本の政策の結果が今後のノーベル賞受賞者数に跳ね返ってきます。何か手を打たなければ日本の将来は暗いものになってしまうかもしれません。

 ――低迷の理由を教えてください。

 ◆低迷はそんなに驚くことではありません。世界の中で日本の科学技術が好調だったのは1990年代後半くらいです。日本は90年代前半に基礎研究への投資を増やしましたが、当時、世界で研究費を増やしたのは日本だけでした。他国は冷戦の後で経済的に余裕がなかった。しかし、日本は国立大学を04年度に法人化し…

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【ノーベル賞】

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