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同和地区名公開は違法 許されない差別の助長だ

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 被差別部落の地名リストを出版社がインターネット上で公開したのは違法との判決を東京地裁が出した。書籍出版やネット掲載を禁止し、賠償も命じた。

 部落差別は根深い問題である。地名の公開は差別を助長する。当然の判断だ。

 出版社側は2016年、書籍の刊行を予告し、その内容をネット上に掲載した。

 判決は、住所や本籍が地名リストと照合され、同和地区の出身者が差別を受ける恐れがあると指摘し、プライバシーの侵害に当たると認定した。

 出版社側は研究や表現の自由が制限されると主張したが、「公益目的がないのは明白」と退けた。

 ただし、全面的に公開を禁じたわけではない。理由として、原告の中に出身地を公表している人がいることを挙げている。しかし、裁判に加わっていない出身者への配慮を欠いており、疑問だ。

 地名リストは、1970年代にも問題になった。掲載された書籍を200社以上の企業が購入し、採用時の身元調査などに利用していた。

 今回のケースでは、より深刻な被害が生じかねない。ネット上の情報は誰もが閲覧できるうえ、拡散すると完全に消去するのは難しいためだ。

 実際に、地名リストを見た人が自治体に事実かどうか問い合わせる事例が相次いでいる。関連する投稿や差別的な書き込みも後を絶たない。

 法務省は、特定の地域を同和地区と名指しする投稿は許されないとの考え方を示している。ネット事業者と連携し、速やかに削除する仕組みを講じるべきだ。

 この問題が表面化したことをきっかけに16年末、部落差別解消推進法が制定された。国や自治体に、相談体制を充実させ、教育・啓発を進めるよう求めているが、差別を禁止する規定はない。

 結婚を巡る差別などが今も確認されている。一昨年の国民意識調査では、交際相手や結婚相手が同和地区出身者かどうか気になると答えた人が15・8%いた。

 生まれた場所を理由にした差別は、あってはならない。社会全体で根絶に取り組む決意を新たにしたい。

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