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ヤングケアラー

通学や仕事をしながら家族の介護をする子ども「ヤングケアラー」。将来が左右される深刻なケースも。

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「家族を世話」する中学生4.5% さいたま市ヤングケアラー調査

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さいたま市教育委員会が入る市庁舎=大平明日香撮影 拡大
さいたま市教育委員会が入る市庁舎=大平明日香撮影

 通学しながら家族の介護や世話をする子ども「ヤングケアラー」に関連して、さいたま市教育委員会は、市立中学校の生徒のうち「世話をしている家族がいる」と答えた生徒が4・5%に上るとの調査結果を公表した。細田真由美教育長は、ヤングケアラーに当たるかどうか個別に教員が面談するなどして「支援につなげたい」と話している。【山越峰一郎】

 調査は市立中学、高校、中等教育学校の生徒3万4606人を対象に6月、配布してあるタブレット端末を通じて行った。このうち中学生は3万1742人で、2万8242人から回答を得た(回答率89・0%)。

 中学生が世話をしている対象は「きょうだい」が49・5%と最も多く、「そのほか」の8・8%にはペットも含まれていた(複数回答)。母親へのケアの内容は、料理、掃除、洗濯などの家事が66・2%で、きょうだいの保育所への送迎などが16・5%、愚痴を聞くなど感情面のサポートが15・4%だった。

 県が2020年7月に県内の高校2年生を対象に行った調査では、冒頭でヤングケアラーについて「本来大人がすると想定されているような家事や家族の世話を日常的に行っている18歳未満の若者」と明記し、イラストで事例も示していた。市教委の今回の調査ではこうした定義や例示が最終盤までないまま質問が続き、回答した生徒は「ケア」と「手伝い」を混同している可能性があるという。

 細田教育長は「県教委が制作したマンガを読んでもらうことや、教育相談主任らへの研修を通して、生徒も理解を深められるようにしたい」と話している。

「親が拒否、支援に限界」嘆く教員

 さいたま市教委は、今回のケアに関する調査は回答者が特定できるため、調査結果を個別面談などの支援につなげるとしている。一方で、現場の教員からはヤングケアラーへの対応に苦慮する声も上がっている。

 小学校は今回の調査対象ではないが、市内の小学校教員はヤングケアラーについて「デリケートな問題のため本人が話したがらず、気づきにくい」と明かす。数年前、小学5年の男子が該当すると判明したが、それまでひた隠しにしていた。母子家庭で母親に精神疾患があり、家庭訪問すると屋内は足の踏み場もなく散らかっていた。区福祉課とも連携したが、母親の許可が得られず、十分な支援ができなかったという。

 ある小学6年の女子児童は、体が不自由な祖母を介護していた。母親は仕事で夜間に家におらず、風呂やトイレの介助で昼夜が逆転してしまった。この女児には自傷行為があったが、支援を母親が拒絶。教員は「児童が希望する補習すら親の許可が必要で、限界がある」と嘆く。

 別の市内の小学校教員は「10年前から忙しさが加速し、家庭訪問ができず気づきにくくなった」と背景を説明する。休み時間に子どもの話を聞くなど、時間を割くことも難しくなった。「信頼関係がなければ児童が『恥ずかしい』と思っている困りごとは話してくれない。ヤングケアラーだけでなく、発達障害など配慮が必要な児童はクラスに2~3割いる。1クラス20人、せめて30人だと子どもに寄り添った対応ができる」と話す。【山越峰一郎】

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