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国民不在の「見世物」、自民党総裁選 候補者らと共に踊った報道=金平茂紀

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 この1カ間のテレビとは何だったのか。よくよく考えてみれば、きっかけはちょうど1年前、7年8カ月に及ぶ安倍晋三長期政権の末期に、突然、病気を理由に安倍氏が政権を放り出し、当時の官房長官だった菅義偉氏が、自民党総裁の座を急きょ引き継ぐことになったことだった。新型コロナウイルス禍のさなか、菅氏は選挙を経て残り任期1年の総裁の座を引き継いだ。「安倍政治の継承」を掲げた菅氏は、長期化するコロナ禍への対処を十分に果たすことができず、結局は、自民党内の長期政権の権益者たちの派閥抗争で、菅氏が再び政権を投げ出して(総裁選への不出馬表明)、今回の総裁選、実質的な日本の首相選びに至ったのである。その意思決定の過程に国民はいない。

 単なる観客である国民の目の前で、壮大な「見世(みせ)物(もの)」が展開された。それは行われなければならなかった手続きではあった。それを報じるテレビの役割は本来どうあるべきだったのか。「見世物」の登場人物たちと一緒になって踊ることか。それとも、この「見世物」の正体を、有権者の立場からチェック=監視することか。残念ながら、今回の総裁選をめぐるテレビの機能は前者に傾きすぎていた。各候補者たちは、テレビ…

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