パラ選手村で起きた自動運転事故 開幕前に分かっていた「課題」

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選手村に停車するトヨタ自動車のイーパレット=東京オリンピック・パラリンピック組織委員会提供
選手村に停車するトヨタ自動車のイーパレット=東京オリンピック・パラリンピック組織委員会提供

 東京パラリンピック開催中に、選手村で自動運転バスが視覚障害のある選手に接触する事故が起きた。開発中の車両を提供したトヨタ自動車の豊田章男社長は「(技術への)多少の過信はあったかもしれない」と陳謝した。技術をアピールする場が裏目に出たが、実は事故が起きる1カ月以上も前に現状の自動運転技術の“限界”に直面していた。

トヨタの20人乗りバスで何が

 事故が起きたのは8月26日午後2時ごろ。柔道(視覚障害)の男子81キロ級に出場予定だった選手(30)が、信号のない丁字路の横断歩道で自動運転バスと接触。転倒して頭などに全治2週間の軽傷を負い、同28日の試合を欠場した。選手村内の道路は外の公道とは隔離されており、他には作業用トラックが一時的に走っているぐらいだった。

 この自動運転バスは、トヨタが開発中の「e―Palette(イーパレット)」(20人乗り)。東京オリンピック・パラリンピックの最高位スポンサーを務めるトヨタが、大会関係者や選手の移動手段として提供し、運行もトヨタが担っていた。

 自動車業界では自動運転技術を、到達度に応じて低い方から順にレベル1~5の5段階に分類している。既に市販車に導入されているハンドルやブレーキ、アクセルの操作の自動化はレベル1~2で、あくまで運転者の支援という位置付けだ。渋滞した高速道路のような一定の環境でシステムに運転を任せるレベル3は、一部の市販車に導入されている。完全な無人運転となるレベル4~5は、開発が進められている段階だ。

発進は人間が判断していた

 もともと…

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