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脚本家の橋本忍が、黒澤明との映画作りについて書いた本「複眼の映像 私と黒澤明」に、国立の映画劇場建設構想の話が出てくる。脚本家の重鎮、八住利雄と橋本が文化庁と共同歩調を取って、国立の映画劇場と撮影所を一緒に建設する計画を進めていたという。1970年代前半のことのようだ。
58年をピークに映画観客は減り始め、70年には最盛期の4分の1以下に。71年に大映が倒産、日活も経営危機に陥って、映画界は衰退の一途をたどっていた。橋本によれば、八住と初代文化庁長官の今日出海は、「このままでは衰退と崩壊しかない日本の映画界」を「発展させ隆盛に導く」ために、映画劇場と撮影所の建設が不可欠と意見が一致した。が結局、構想は流れた。映画会社の思惑や事情が錯綜(さくそう)し、まとまらなかったのだ。
さて、話は10月末から始まる東京国際映画祭に飛ぶ。今年から会場が、東京・六本木から日比谷周辺に引っ越した。この辺りは、古くから大小の劇場が集まる映画街だから、映画祭にはぴったりだ。上映会場の映画館が歩ける距離に集まっているのも便利だ。
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