米政権、目玉政策窮地 大型歳出 民主内、対立収まらず

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米民主党議員団との会合後、同党のペロシ下院議長(手前右)と話し合うバイデン大統領=ワシントンで1日、ロイター 拡大
米民主党議員団との会合後、同党のペロシ下院議長(手前右)と話し合うバイデン大統領=ワシントンで1日、ロイター

 バイデン米政権の目玉政策である総額4兆5000億ドル(約495兆円)規模の大型歳出法案の連邦議会での審議が難航している。歳出規模を巡る民主党の左派と中道派の対立が収まらず、当初想定していた期限内の法案成立は断念。政権は与党内の調整に苦慮している。

 「法案は成立させる。時期は、6分後でも、6日後でも、6週間後でも、問題はない」。バイデン大統領は1日、連邦議会で開かれた民主党下院議員団の会合に出席した後、改めて成立に意欲を示した。大統領が自ら議会を訪問するのは異例。米メディアによると、非公開だった会合でバイデン氏は「仮に規模が小さくなったとしても歴史的な投資になる」などと法案の意義を説き、早期成立への協力を呼びかけた。

 法案は、上院で8月に共和党との超党派グループで可決した1兆ドル規模のインフラ投資法案と、環境対策や教育支援、社会保障など3兆5000億ドル規模の歳出法案の2本立てだ。下院で法案審議を主導する民主党のペロシ下院議長は当初、9月中に両法案の同時成立を目指す方針を示していた。

 ところが、過度の財政出動を懸念する中道派のマンチン、シネマ両上院議員が「歳出法案の規模が大き過ぎる」と反対したため、同時成立の機運は遠のき、ペロシ氏はインフラ投資法案を優先する方針に転換した。すると、今度は左派の下院議員から「歳出法案の上院での可決を担保できないなら、インフラ投資法案には賛成できない」との声が噴出した。

 民主党は上院では共和党と同じ50議席で、議事妨害を避けて法案を可決するために必要な60議席に達していない。共和党は大幅な増税を伴う大型歳出法案には反対しており、民主党から1人でも反対すれば法案は成立しない。一方、民主党は下院では220対212で多数派を占めているが、左派議員団は100人近いため、左派が反対すると法案を可決できない。

 こうした議会の状況を背景に、中道派の上院議員と左派の下院議員が互いに法案を「人質」にとって持論を譲らず、ホワイトハウスと議会執行部が板挟みになっている。ペロシ氏は期限を区切ることで双方の合意を促す戦術をとったが、妥協点は見いだせず、インフラ投資法案の採決は見送ることになった。

 今後の党内調整では、大型歳出法案の規模をどこまで縮小するかが焦点になる。下院の左派議員団を率いるジャヤパル氏は1日の会合後、「大統領は両法案を切り離さないと明確にした」と持論を強調しつつ、「難しい調整になるが、規模は縮小しないといけない」と妥協を示唆した。中道派のマンチン氏は「(歳出法案の)上限は1兆5000億ドル」と公言しており、バイデン政権は双方が折り合えるラインを探っている。

 8月の米軍のアフガニスタン撤収による混乱などを受け、バイデン政権の支持率は40%台前半まで急落している。新型コロナウイルスの感染再拡大やメキシコとの国境管理問題など課題が山積する中、大型歳出法案は支持回復の「切り札」だけに、政権は議会への対応に頭を悩ませている。【ワシントン秋山信一】

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