特集

2021自民党総裁選

岸田文雄首相による新内閣が発足しました。内閣について考察した記事や各国の反応をまとめています。

特集一覧

再考エネルギー

岸田政権、中枢に原発推進派 歓迎する電力業界

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
自民党総裁選で菅義偉氏(左)と手を取り合う岸田文雄自民党新総裁。「グリーン」を主要政策に掲げた菅氏に比べ、岸田氏はエネルギーや環境政策への言及は少なかった=東京都港区で9月29日(代表撮影)
自民党総裁選で菅義偉氏(左)と手を取り合う岸田文雄自民党新総裁。「グリーン」を主要政策に掲げた菅氏に比べ、岸田氏はエネルギーや環境政策への言及は少なかった=東京都港区で9月29日(代表撮影)

 4日召集の臨時国会で新首相に選出された自民党の岸田文雄総裁。新内閣ではエネルギー政策が原発回帰に転じるとの見方が広がっている。「原子力ムラ」とつながるキーマンが要職に就くためだ。河野太郎前規制改革担当相や小泉進次郎前環境相が主導した菅義偉前政権下の再生可能エネルギー重視の路線はどう軌道修正されていくのか。

「事実上の甘利内閣」 歓喜する電力業界

 「エネルギー政策に通じた人が多く登用されている。やりやすい」。新政権の布陣が明らかになるにつれ、電力業界の幹部からはこんな歓迎の声が上がる。

 業界が最も歓迎するのは甘利明幹事長の誕生だ。麻生派ながら総裁選で岸田氏を全面支援し、安倍晋三元首相が実質率いる細田派との調整にも奔走。幹事長の立場だが、永田町では早くも「事実上の『甘利内閣』だ」とささやかれている。

 甘利氏は2006年の第1次安倍内閣から08年の福田康夫内閣まで経済産業相を務めている。経産省の有力幹部OBのほか、電力、ガス業界を中心にエネルギー業界に幅広い人脈を持ち、「原子力ムラのドン」の一人として有名だ。実際、4月に結成された、原発の建て替えや新増設を訴える自民党の議員連盟でも最高顧問に就いている。

 「甘利氏の一番弟子」(大手電力幹部)と言われ、岸田氏の推薦人にも名を連ねた山際大志郎政調会長代理も経済再生担当相で入閣する。山際氏はエネルギー政策に強く、国会では「原発を使い倒さなければ、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)はできない」(21年2月の衆院予算委)と述べるなど、原発推進の急先鋒(せんぽう)で知られる。

 カーボンニュートラルは菅氏が昨年秋の所信表明で50年に実現を目指すと宣言した「菅カラー」の一つだった。7月に策定した次期エネルギー基本計画の原案では、甘利氏ら実力者が名を連ねる自民党の議連や経団連などが繰り返し訴えた原発の「新増設」を書き込まず、成長戦略でも原発回帰を思わせる文言を削除。脱原発派の河野、小泉両氏の訴えに沿った政策決定を続けてきた。

エネ基本計画、高市氏の下で「見直し」?

 総裁選でそのエネ基本計画を見直すと明言し、小型の新型原子炉の開発などを加速させるよう主張した高市早苗氏は政調会長に就任した。選挙戦では、小泉氏が高市氏を念頭に「あらゆる手段を駆使して(再エネ優先の政策を)潰そうという勢力に負けないように、支えていただきたい」とけん制したが、政調会長は党の政策立案を仕切る責任者。政権公約(マニフェスト)の策定を主導する立場でもあり、業界は河野、小泉路線からの修正に期待を寄せる。

 政策立案に直接関わるポストではないが、国対委員長に就く高木毅元復興相も原発推進派で知られる。原発が立地する福井2区の選出で、原発推進の立場を取る党の電力安定供給推進議連の事務局長を務めてきた。甘利氏らとともに議連の活動などを通じて新増設を訴えたほか、最長60年までとする稼働期間の見直しや原子力規制委の審査によって停止している期間を稼働期間に数えないようにする原発推進策を訴え…

この記事は有料記事です。

残り1631文字(全文2892文字)

【2021自民党総裁選】

時系列で見る

関連記事

あわせて読みたい

マイページでフォローする

ニュース特集