岸田内閣発足 経済底上げ、新味薄く 追加対策に数十兆円

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 岸田文雄首相は4日夜の記者会見で、自身が目指す「新しい資本主義」について「成長と分配の好循環を実現し、国民が豊かに生活できる経済を作り上げていく」と宣言。経済成長の果実を中間層に手厚く分配していく方針を強調した。まずは衆院選前に数十兆円規模の追加経済対策の概要を示す方針だ。

 安倍晋三政権が掲げ、菅義偉政権も引き継いだ経済政策「アベノミクス」は大規模な金融緩和、機動的な財政出動、成長戦略の「三本の矢」を推進したが、「(富を国民に行き渡らせる)トリクルダウンが弱かった」(矢嶋康次・ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト)との指摘もあった。これに対し、首相は会見で「分配なくして次の成長はない」と述べ、「新しい資本主義」の具体策を議論する会議の設置を表明。分配政策の強化によって消費を盛り上げ、新たな成長につなげるとした。

 具体的には、看護師らの給与引き上げのほか、賃上げした企業への優遇措置や、「富裕層優遇」との指摘がある金融所得課税の見直しにも言及。近く打ち出す追加経済対策には、分配重視の「岸田カラー」が色濃く反映されることになりそうだ。分配の「パイ」確保に重要なのが、日本経済を底上げする成長戦略だ。経団連の十倉雅和会長は4日の記者会見で「デジタル、グリーンを中心として日本経済の持続的な成長を行っていくことを期待…

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