「アフリカ最後の絶対王制」エスワティニ コロナで露呈した矛盾

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2019年10月に訪日した際のムスワティ3世・エスワティニ国王=東京・元赤坂の迎賓館で(代表撮影)
2019年10月に訪日した際のムスワティ3世・エスワティニ国王=東京・元赤坂の迎賓館で(代表撮影)

 国民の3割が1日1・9ドル(約210円)以下で暮らし、失業率も約23%に上る一方、15人の妻を持つ絶対君主の国王はプライベートジェットやロールスロイスを乗り回す。それがアフリカ南部のエスワティニ(旧スワジランド)で、「アフリカ最後の絶対王制」とも呼ばれる小国だ。この国が今、独立以来最大規模の民主化要求運動に揺れている。現場では一体、何が起きているのか。

妻15人、ロールスロイス…

 「(新型コロナウイルス禍でも)仕事がある自分はまだ幸運な方だ。それでもこの給料で妻子を養うのは難しい」。首都ムババーネのホテルで夜間警備員として働くシンピウエ・ガーマさん(32)は嘆いた。毎日ほぼ休みなく午後5時から翌日午前6時までホテル内を巡回し、給与は月額1500エマランゲニ(約1万1000円)。スーパーでは安いパンでも1斤約80円はする。家賃や3人の子供の教育費などがかさみ、交通費を節約するため45分かけて徒歩通勤している。海外での出稼ぎも考えているが、家族と別れるのは寂しい。「豊かな人もいるし、貧しい人もいる。これがスワジランドだ」。ガーマさんは少し投げやりな様子で声を荒らげた。

 エスワティニは南アフリカとモザンビークに囲まれた内陸国で、2018年にスワジランドから国名を変更した。人口約120万人で、面積は日本の四国とほぼ同じ。1968年に英国から独立し、現在のムスワティ3世(53)は亡父の後を継いで86年に即位した。

 憲法で規定された国王の権限は絶大で、首相や閣僚、最高裁判事の任命権を持つ。国会議員は普通選挙で選ばれるが、国王には議会の解散権や法案への拒否権がある。国王は所得税や輸入関税など全ての税金を免除され、民事・刑事の法的責任も問われない。

 ムスワティ3世は各分野のビジネスにも関わる大富豪で、妻は15人。…

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