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科学技術と人間

いつごろから、知の軽視がこの国を冒すようになったのだろうか。西垣通・東大名誉教授によるコラムです。

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/7 デジタル庁への疑問 システム統合より危機管理を=西垣通(情報学者、東大名誉教授)

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デジタル庁発足式であいさつする菅義偉前首相。左画面は平井卓也前デジタル相=首相官邸で2021年9月1日、竹内幹撮影
デジタル庁発足式であいさつする菅義偉前首相。左画面は平井卓也前デジタル相=首相官邸で2021年9月1日、竹内幹撮影

 デジタル庁が発足した。これは菅義偉政権の残した数少ない成果の一つだという声がある。だが果たして功を奏するか否かは、まだ分からない。

 これまで官公庁のデジタル化は縦割りで使いにくく、他の先進国より遅れていると批判されてきた。とくに騒がれたのはコロナ禍対策である。部署間に壁があり、データをファクスでやりとりしたために、感染状況の把握に混乱が生じた。政府による特別定額給付金の配布も、振込口座の確認に手間取った。おまけにマイナンバーカードもなかなか普及しない。

 こういった反省から、各省庁のシステム統合を強力に推進し、社会全体の効率を上げようというのがデジタル庁設立の狙いらしい。面倒な各種行政手続きも、役所でハンコを押して申請するかわりに、スマホから簡単に実行できるようになるという。だが、そんな謳(うた)い文句はどうも空(むな)しく響くのである。

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