日大背任 病院設計監理の予定価格数億円つり上げか 理事を追及へ

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日大の関連会社「日本大学事業部」を家宅捜索し、段ボールを運び出す東京地検特捜部の係官ら=東京都世田谷区で2021年9月8日午後7時22分、松尾知典撮影 拡大
日大の関連会社「日本大学事業部」を家宅捜索し、段ボールを運び出す東京地検特捜部の係官ら=東京都世田谷区で2021年9月8日午後7時22分、松尾知典撮影

 日本大学付属病院の建て替え工事を巡り日大の関連会社が家宅捜索を受けた事件で、関連会社の役員で日大理事を務める男性(64)が、病院の設計監理の予定価格を数億円つり上げた疑いがあることが、関係者への取材で判明した。東京都内の設計会社に金額の上方修正を持ちかけて受注させた疑いがある。設計会社を通じて2億2000万円が大阪市の医療法人グループ側に流出しており、東京地検特捜部は不当な業者選定で日大に損害を与えたとして、男性理事を背任容疑で本格的に追及する方針を固めた模様だ。

 関係者によると、日大は付属板橋病院(東京都板橋区)の老朽化に伴い建て替えを計画。設計会社の選定を関連会社「日本大学事業部」(東京都世田谷区)に委託した。事業部は企画内容などを総合評価する「プロポーザル方式」で業者を募り、2020年1月末までに4社が参加した。

 都内の設計会社の提案書は当初、業務の総額を20億円前後としていたが、男性理事が数億円上方修正して約26億円にするよう設計会社側に指示し、金額が差し替えられた疑いがあるという。事業部は国土交通省の基準などから事前に上限を約26億円と見積もっており、これに近づける意図があったとみられる。

 日大幹部ら7人が設計内容や価格などを考慮して各社の提案書を採点。最高点は都内の設計会社ではなかったが、男性理事の指示で評価点が水増しされ、都内の設計会社が1位になったという。

 事業部は設計会社と金額交渉して約2億円値下げし、日大は同年4月に設計会社と約24億円で契約。同年夏に設計会社に前払い金約7億円が支払われた。このうち2億2000万円が男性理事の指示で、大阪市の医療法人グループの前理事長(61)が株式を100%保有する都内のコンサルタント会社に送金された疑いがある。コンサル会社は実体がないペーパーカンパニーだったとみられる。

 その後、医療法人グループ側から複数の会社を通じて男性理事に2500万円が渡っているといい、特捜部は医療法人グループの前理事長を任意で事情聴取し、男性理事側との金銭のやり取りの趣旨を確認している模様だ。

 前理事長は9月17日付で理事長を辞任した。医療法人グループは毎日新聞の取材に「詳細は答えられない」としている。【志村一也、二村祐士朗、国本愛、井口慎太郎】

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