特集

Listening

話題のニュースを取り上げた寄稿やインタビュー記事、社説をもとに、読者のみなさんの意見・考えをお寄せください。

特集一覧

社説

高速道路料金のあり方 場当たり的な議論の限界

  • コメント
  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷

 高速道路の「永久有料化」への一歩となる提言が出された。なし崩し的に進めるのではなく、政府は国民にしっかりと説明する必要がある。

 国土交通省の審議会が、高速道路を2065年に無料化する現行計画を見直すよう答申した。

 高速道路は借金で造り、完済後に無料で開放することになっている。その時期は、日本道路公団の民営化当初は50年だったが、後に先送りされた。

 12年に起きた笹子トンネルの天井板崩落事故を契機に、老朽化対策のコストが膨らんだためだ。片側1車線で暫定的に開通した区間の拡幅なども計画され、無料化の時期が見通せなくなった。

 このため審議会は、修繕などの費用が新たに発生するたびに無料化時期を先送りし、料金収入で返済を続ける手法を提案した。

 ただ、維持管理の費用は永続的に発生する。これを料金で回収し続けるというなら、「将来は無料にする」という約束と矛盾する。

 政府が無料化方針の見直しをためらうのは、道路会社の経営や料金に及ぼす影響が大きいからだ。永久有料化を前提にすれば、道路に固定資産税がかかる。

 とはいえ、従来の方針との整合性を曖昧にしたまま場当たり的に無料化を先送りする対応は限界にきている。これでは国民の理解を得られない。

 高速道路には、移動時間を短縮できるメリットがある。特急や速達と同じように、便益への対価を利用者に求める考え方には合理性があろう。

 需要に応じて料金を上げ下げすることで渋滞や環境負荷を緩和する効果も期待される。

 仮に無料化すれば、維持費用は税金で賄われる。道路の経済効果は地域全体に及ぶとはいえ、車に乗らない納税者にまで負担を求めることには異論もあるだろう。

 一方で、永久有料化による安定的な料金収入が、非効率な道路整備の温床になってはならない。政府や高速道路会社に徹底的な説明責任を求め、料金抑制を促す取り組みも欠かせない。

 高速道路の便益と負担に関わる原則を国会で根本から議論し、時代の変化に即した料金政策を打ち出さなければならない。

コメント

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の特集・連載
すべて見る

ニュース特集