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岸田文雄首相のSNS(ネット交流サービス)が「教科書的なネットの使い方」をしていると専門家たちに評価されているという。「地味だ」「発信力が弱い」と言われてきた岸田氏。自民党総裁選でもネット上では目立った印象はなかった。にわかに信じられないが、どこが評価されているのかを調べた。【木許はるみ/デジタル報道センター】
「私は発信力が弱いと指摘を受けてきた。河野(太郎)さんには弱点を補ってもらう」。岸田氏は10月1日、総裁選のライバルだった河野氏を党広報本部長に起用した理由についてこう語った。岸田氏の「発信力の弱さ」はデータ上も裏付けられている。
ツイッターでの発言(ツイート)の傾向を調べる「ヤフーリアルタイム」によると、「岸田文雄」を含むツイート数は、総裁選告示(9月17日)から投開票日前日(9月28日)までの12日間で約1万4000件。一方、総裁候補だった「河野太郎」は約14万件、「高市早苗」は約13万件。岸田氏の10倍前後もツイートされていた。
テレビや雑誌は「高市氏のネット人気」「『高市氏の言葉』にネット民が熱狂」などと、保守系に浸透する高市氏を持ち上げていた。記者(木許)も“高市現象”に関心を持ち、専門家への取材を始めた。ところが、専門家は高市氏ではなく岸田氏のSNSの使い方のうまさを指摘したのだ。
「#岸田BOX」の底力
「岸田さんの使い方は教科書的でした」。こうほめるのは逢坂巌駒沢大准教授(政治コミュニケーション)。政治家の発信を研究し、「日本政治とメディア」の著書もある専門家だ。
岸田氏のSNS発信のどこが「教科書的」だったのか。逢坂氏が一番に挙げたのは「#岸田BOX」を使ったSNSでの「対話」だ。岸田氏は9月2日、<ぜひ皆さまの忌憚(きたん)のないご意見をお寄せ下さい>とツイッターで呼びかけて、「#岸田BOX」を開始した。翌3日夜までに3000件、その後も増え続けて18日までに1万件を超える意見や質問が集まった。集まった質問にはYouTube(ユーチューブ)やInstagram(インスタグラム)でライブ配信をして回答していった。
ハッシュタグ(#)を使って質問を受け付ける手法は選挙でも定番になりつつある。逢坂さんは…
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