人口2万人余の街 4度の五輪代表合宿がもたらした一体感
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山形県村山市は、東京オリンピックでブルガリアのホストタウンになり、新体操の代表選手を全国でもいち早く受け入れた。合宿は2017年を皮切りに4回開かれ、地元にファンクラブが結成されるなど、人口2万人余の街が市民一体となって応援。ブルガリア代表は、団体総合で金メダルに輝いた。誘致から一貫して関わった同市教育委員会の東京オリンピック・パラリンピック交流課長、西塚仁さん(55)は「夢と希望が持てた時間だった」と振り返る。【聞き手・山下俊輔】
山形県村山市教委・西塚仁さん
――ホストタウンになった経緯は。
◆市内に新体操が盛んな中学校があり、(強豪国である)ブルガリアにつてのある地元の人から大使館に打診してもらいました。私の前任者がブルガリアまで交渉に行き、向こうの新体操連盟の会長も17年3月に村山市を訪れて「いいところだ」と。「日本の環境に慣れ、集中して練習したい」と直後からの合宿を希望されました。
――どんな交流をしたのですか。
◆最初の合宿はその年の6月でした。先例もなく、私を含めて職員3人で歓迎レセプションやおもてなしの内容を手探りで決めました。18、19年と大会直前も含めて計4回受け入れました。
選手たちは、1回の合宿で約2週間、村山市に滞在し、1日8時間練習しました。その合間に生け花や茶道、座禅、浴衣の着付け、サクランボ狩り、スイカ割りなどで市民と交流しました。「せっかくだから日本の文化に触れてもらいたい」と企画しましたが、選手たちはすごく喜んでいました。
練習会場となった市民体育館で公開演技会を開催し、多い日には市内外から約2000人の観客が集まりました。世界トップの演技に元気をもらいました。市民の有志を中心にファンクラブが結成され、選手たちに毎年クリスマスカードを送ったり、ブルガリアの大きな国旗を手作りして寄せ書きしたりしました。
――19年の「全国ホストタウンサミット」では情報発信など全3部門で大賞を取りました。何が評価されたのですか。
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