「大人は責任放棄」 孤独や絶望乗り越え、20歳が温暖化対策訴え
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国会議員が居並ぶ中、りんとした声が国会議事堂(東京・永田町)の脇に建つ衆院分館の部屋に響いた。
「私は皆さん方、大人に『あなたたちの未来と命はない』と宣告されたように感じました。絶望しました。気候危機から国民の命を守るという責任を放棄したように思えます」「気候危機は、既に日本を襲っています」。地球温暖化対策推進法をどう改正すべきかを議論していた4月23日の衆院環境委員会で、鹿児島大2年の中村涼夏(すずか)さん(20)は15分間にわたり危機感を訴えた。
中村さんは、温暖化対策の強化を求める全国的な若者の運動「Fridays For Future Japan(フライデーズ・フォー・フューチャー・ジャパン)」の中心メンバーだ。運動の実績を買われ、国の環境やエネルギー分野の会合に参加する第一人者の専門家らとともに、委員会に招かれた。
その前日、菅義偉首相(当時)を本部長とする政府の地球温暖化対策推進本部は「二酸化炭素など温室効果ガスの排出量を、2030年度までに13年度より46%削減する」という新しい目標を決めたばかりだった。これまでの「26%削減」から大幅な引き上げ。それでも中村さんは不十分だと感じ、思いの丈を語った。
「フライデーズ・フォー・フューチャー(未来のための金曜日)」。元々は、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさん(18)が15歳の時に始めたひとりぼっちの運動だ。毎週金曜日、温暖化の対策が徹底されないことに抗議するため、学校を休みスウェーデンの国会前で座り込みを続けるストライキをした。
「大人は子どもたちを愛していると言いながら、その目の前で子どもたちの未来を奪っている」。こうした訴えが、若者の心に響いた。各国の若者らによる路上デモや、ネット交流サービス(SNS)を通じた抗議運動につながり「フライデーズ・フォー・フューチャー」は1年足らずで世界中に広がった。うねりは日本の若者にも波及した。
「フライデーズ・フォー・フューチャー・ジャパン」は路上やオンライン上での運動だけでなく、中村さんらメンバーが小泉進次郎環境相(当時)と3度も意見交換するなど、政治の場でも存在感を発揮し始めている。なぜ中村さんは、環境問題の世界に踏み出したのか。きっかけは、幼い時に見たふるさとの原風景だという。
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